第69話 大勝利?


(あぁ、イラつく……)


 電力が復旧してビル内は明るくなった。しかし、俺の心境は薄暗いままだ。


 会話なく、最上階の廊下を西代と手を繋ぎながら歩く。エレベーター内でも、俺は特に何も話さなかった。


 冷え性なはずの西代の手は小さくて温かい。


「その、えっと……ね」


 静寂と手の感触が、俺の意識を内側に集中させる。只今、どうやってあの場をぶっ壊すかを考えている最中だ。


「か、勘違いしないでくれよ? こ、これは別に、僕が手を繋ぎたくて握っているんじゃないから。あくまで、恋人のふりをするために手を握っただけだからね?」

「あぁ、そう」


 俺は安瀬じゃない。悪だくみには、相当頭を使わなければいけない。


「ず、随分と気の抜けた返事をするじゃないか。ま、まぁ僕みたいに可愛げがない女じゃあ、照れもしないか」

「あぁ、うん」


 どうするか……やはり、背後からの奇襲か。いや、暴力沙汰は高確率で捕まるしな……。


「……聞いているのかい?」

「へぇ、そう」


 くそっ、安瀬の助力が欲しい。俺1人の考えじゃあ、猫屋の時の二の舞だ。きっと俺達にとっていい結果にならない。


「………………恐らくだけど、猫屋は君の事が好きだよ」

「そっか」


 この後、電話を掛けて相談してみようか。


「ふんっ!!」


 俺の足指先が、西代のヒールによって踏み潰された。足元から脳天まで痛みが打ち上がる。


「い゛っ!?」


 思考を中断し、思わず飛び上がった。


「お前何してんの!? さっきから暴力が多くないか!?」

「僕だって女なんだ。ムカつく時はムカつくからね」

「はぁ!?」


 回答になっていない言葉に、俺は喚き散らす。


「今日の君は借り物なんだ。今日だけは僕の物。僕だけの男だ。それなのに、僕を無視して考え事は良くないよね?」


 むすぅっとした顔をして、彼女は俺の上の空だった態度に物言いをつけた。


「いや、誰に借りてるんだよ」

「猫屋さ」

「…………どういうことだ、そりゃあ」


 ますます意味が分からなかった。俺がいつ、猫屋の所有物になったと言うのか。


「まったく。1月も共同生活すれば僕でも気がつくよ」

「??」


 西代が何を言っているのか、マジで分からない。


「さて、浮ついた話は一旦終わりにしようか。本日の最難関に到着した訳だしね」


 そんなこんなを話している間に、大きな両開きのドア前に辿り着く。豪華さから考えて、ここがお爺様とやらが待っている部屋なのだろう。


「お爺様の前で他の考え事なんてしてたら殺されちゃうから、こっちに集中してね」

「……なんだって?」

 

 不穏な言葉が飛び出した。


「怒らせたら少し怖い人なんだ。加えて、偏屈で破天荒。失礼のないようにね」


 どうやら、西代の祖父はかなり気難しい人物のようだ。


「……今のうちに詳しい性格を教えといてくれ」


 呼び出された理由は十中八九、俺たちの偽りの恋仲についてだろう。その手の偽装は慣れたものなので地雷を踏むことはないだろうが、情報を仕入れておく事に越したことはない。


「そうだね。君に分かりやすく説明するなら…………」


 西代は目を閉じて眉間を指で押さえた。なんて言えばいいか迷っているように見える。やはり、説明が難しい人柄らしい。


「……安瀬と猫屋を混ぜ合わせて、凶悪度を10倍くらい跳ね上げた人……かな?」

「それ人間じゃねぇよ」


 聞いた瞬間、思わずツッコミを入れた。


 本当に人間ではない。恐ろしすぎる。故に、どんな人か想像できない。


「基本的に何でもできる人なんだ。知略と暴力に長け、戦後の政界をのし上がった鬼才者。あぁそれと、僕の祖父なんだから当然、博打も大好きだよ」


 それなら安瀬と猫屋に加わり、西代も混ざっている。


 酒飲みモンスターズの10倍濃縮混合物。そんな人間がこの世に居てはいけない。世界が終わってしまう。


「嘘か冗談か知らないけど、昔、政敵がヤクザを使って圧力をかけてきた時に、仲間を募って逆にヤクザの事務所に乗り込んで壊滅させたらしいよ?」

「だからそれは人間じゃないって」

「ふふっ、そうだね。まさに昭和の怪物って感じの人さ」


 西代は楽観的に笑って祖父の事を話しているが、俺は一切笑えなかった。


「あの、えっと、西代さん。俺、会場に戻っていいですか?」


 そんな爆弾みたいな人間に会いたくない。それに、俺には会場に戻ってやる事がある。


「ダメだよ。僕が怒られちゃうじゃないか」


 西代は俺のお願いを一蹴して、ドアノブに手を掛けた。


「まぁ君ならきっと大丈夫だよ……お爺様、僕だ。入るよ」

「え、ちょ──」


 彼女は声だけ掛けて、ノックもせずに部屋に入った。


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 ドアの先で俺が目にした人物は、ギラついた目をして受話器を耳に添えていた。


「あぁ、警備を増員して異常がないか隅々まで調べ上げろ。停電なんぞ、誰にでも起こせるもんだ。鼠が入っていたら即座に拘束してサツに突き出せ」


 仰々しいはかま姿であり、顔の彫が深い男老人。自然に禿げあがっただろう金柑頭がスキンヘッドのようで威圧感を感じさせる。短く整えられた剛毛の白髭しろひげは、人相の悪さを加速させていた。


 第一印象としては、ひたすらに厳ついお爺さんだ。少しヤクザっぽい。


「来たよ、お爺様」

「ん、あぁ、桃」


 お爺さんは西代を見た瞬間、険しい表情を一瞬で和らげた。


「よく来た。最後に会ったのは誕生日以来か」


 笑顔としわがれた低い声が西代に掛けられる。風貌からは予想しにくかった、好々爺こうこうやの微笑みというやつだった。


「そうだね、久しぶり……何してたの?」

「あぁ、ついさっき停電があったろう? 念のため、警備に見回りの要請をな」


 そう言って、お爺さんは受話器を本体に戻した。あの固定電話は、内線で警備室にでも繋がっているのだろう。


「相変わらず手が早いね」

「当然だろう。今日はリクの誕生日だ。何か不手際があっては可哀そうだ」

「……それはまぁ、お優しい事で」


 皮肉気な顔をして、西代は肩をすくめた。


「ぐわはははは!! 相変わらず仲が悪いようで大変結構!!」


 その態度を見て、爺さんはでかい声を上げて笑う。


「お前たち2人の関係を見ると、儂は胸が苦しくて元気がでる!! 老骨に染みおるわ!!」


 …………どうやら、この爺さんは孫同士の不仲が喜ばしいようだ。


 先ほど西代に見せた笑顔で気が緩んだが、聞いていた通りのヤベー人のようだった。


「…………」

「おっと」


 俺が馬鹿笑いする爺さんを微妙な目で見ていると、その視線に気がついたのか、爺さんと目が合う。


「呼び寄せておいて挨拶もせずに放って悪かった。儂が桃の祖父、東城垣蔵かきぞうだ」

「あ、いえ、ご丁寧にありがとうございます。モモちゃんとお付き合いをさせてもらっている陣内梅治です」


 なるべく畏まる。俺の礼儀作法は年相応だ。なので、心づもりだけはしっかりと会釈した。


「「……………………」」


 俺と垣蔵さんは、しばし無言でお互いを見つめあった。


 俺の方は何を話していいのか分からないので黙っているだけだが、お爺さんの方は俺をつぶさに観察しているように思えた。ヤンキーファッションなので、変に思われてないかが心配だ。


「さて、桃。ここにお前を呼んだ理由だか……」


 垣蔵さんは視線を俺から孫娘に移す。


「久しぶりにお前の弦楽げんがくが聞きたいと思ってな」

「え?」


 いきなりの申し付けに、西代が怪訝な声をあげた。


「昔使っていた物を風見に用意させている。隣の部屋だ。この若いのを置いて、調弦ちょうげんしてこい」

「……いきなり何? 僕、もう2年近くは楽器に触れてないよ?」


 俺は彼女の言葉に少しだけ驚いた。


 疑っていたわけではないが、西代は本当に楽器を弾けるのだ。リコーダーすら上手く吹けない俺にとって、楽器を弾けるというだけで尊敬してしまいそうになる。なんというかクールでカッコイイ。


「それに……元からお爺様に聞かせられるような腕じゃない。僕は下手だ」

「そうだな。だが、お前が儂の為に弾いてくれる旋律は妙に胸を打つ。老い先短い者の頼みを聞いてはくれんか?」

「…………はぁ、また断りづらい頼み方をするね」


 西代は諦めたようにため息をついた。


「分かった。久しぶりに聞かせてあげる。断っても、より酷いことになりそうだしね」

「ははっ、よく分かっているな」


 ……話の流れから察するに、俺は垣蔵さんと2人きりになってしまうらしい。気まずいので嫌だが、それを言い出せば失礼に当たるので黙っておく。


「それじゃあ、行ってくるよジン君。すぐ戻ってくるつもりだけど、その間、お爺様に失礼の無いようにね」

「お、おう」


 西代は言われた通り、部屋から退室しようとする。俺はただ、西代に『早く帰って来てくれよ』と念を送るしかなかった。


「あぁ、それと、お爺様」


 ドアを半分ほど開けた所で、西代が立ち止まる。


「彼に変な事をしたら、僕本気で怒るからね」


 彼女は濁った眼をして、自分の祖父に一言釘を刺してくれた。


「それ、今は僕の物だから」


 そう言い残して、彼女は部屋から立ち去った。


「……ふッ……ふふふ。随分と気にいられているようだな、小僧」


 西代が居なくなった瞬間、垣蔵さんは鷹の如く目を鋭く細めて、俺を視線で射抜いた。


「え、あぁ、まぁ」


 その眼光に少したじろいだ。視線に、敵意に近い物が込められているように感じたからだ。


「結構な事だ……立ち話もなんだ。座れ」

「……失礼します」


 促された通りに、高そうなソファーに腰掛ける。


「ふぅ。この歳になると、座るのも一苦労だわい」


 垣蔵さんもソファーに腰をおろした。激しい気性だが、齢80歳らしい。


 俺と垣蔵さんは、木の机を挟んで対面に座っている。このまま西代との関係について話し合いになりそうだ。一応、でっち上げの馴れ初めを考えてきているので、根掘り葉掘り質問されても大丈夫だと思う。


「よし、若いの。時間がない。早速やろうか」

「……え、何をですか?」

「ヴァイオリンの調整なぞ、絶対音感を持っている桃なら道具無しでも5分で済む」


 お爺さんは俺の疑問には答えず、急ぎ早く話を続ける。


「風見に軽く足止めを頼んでいるが、時間は稼げて20分が関の山だろうな。その時間を使って、少し遊びに付き合え」

「遊び?」

「そうだ。……種目は何にするか」


 短くて立派な白髭をジョリジョリと逆撫でしながら、垣蔵さんは机の引き出しを片手で開く。


「小僧、誕生月は?」

「? 2月ですけど」

梅見月うめみつき如月きさらぎの梅か。生意気にも良き名を親からもらったな」

「……ど、どうも」


 要領を得ない会話が、一方的に話が進んでいく。


「それなら、コレしかあるまいて」


 垣蔵さんは引き出しの中から紙束のような何かを取り出した。


花札はなふだ。ルールはこいこい、3ヶ月3回戦、倍返しは無しでどうだ」

「…………いや、どうだと言われましても」


 突発的な花札へのお誘い。もちろん、ルールは分かるし、やれと言われればやるが、意図が掴めない。


「なに、ちゃんと賭銭とせんは用意してある」


 垣蔵さんは机の横に置いてあった重そうな紙袋を持ち上げて、乱雑に床に投げた。中に入っていた物がバサッと絨毯に広がる。


 床に広がったのは札束だ。


「1000万ある。勝ったら、

「────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────うっびょぇ」


 非現実な光景に、意識が吹き飛びかけた。


「その代わり、負ければ桃とは別れて貰おうか」

「……は、はぃぃ?」


 鼻くそでもほじるような軽快さで置かれた大金に、俺は腰を抜かした。驚きのあまりに、素っ頓狂な声が自然に漏れ出すしまつ。


「桃に男なんぞ不要だと、儂は考えている」


 そこに在ったのは静かな敵意だった。


「まぁ、しかし、可愛い孫娘ではあるからな。あの子がどうしてもと言うなら認めよう。だが、桃に相応しい最低限の格は示せ」


 正気かこのジジイ。


 賭けの理由を聞いて、少しだけ戻った意識で再度驚愕する。つまり、垣蔵さんは孫娘の恋人の器量を測るために1000万の大博打を俺に仕掛けているのだ。


「賭博にはそいつの本質が現れる。人を測る天秤には持って来いとは思わないか?」

(思わねぇよ!!)


 心の中で毒づく。あまりの破天荒ぶりに眩暈がしてきた。


「受けろよ、小僧」


 怒涛の展開で冷や汗が止まらない俺に対して、垣蔵さんは低く脅しつけるような声を出した。


「この程度で腑抜けるような男を、儂は認める気は無い」


 目の前のご老体から禍々しいまでの威圧感が発せられる。その眼光には、幾人もの死霊が纏わりついているような不気味さがあった。


「うえぇ……」


 たしかに、この博徒気質は西代の祖父だ。同時に、安瀬の狂気と猫屋の暴力性も備わっているように思える。西代があのように表現した意味がようやく理解できた。


 この人、俺が生涯出会った人間の中で一番ヤベー。なんで初対面の人間に会ってすぐに1000万の博打なんか仕掛けられるんだ…………怖ええよ。


「あの、その、えっと…………ですね」


 俺はこの無茶苦茶な話を断るために、必死に頭を回転させ始める。負けて失う物は無いが、こんな大金を賭けた博打なんかは絶対にやりたくなかった。


(………………あれ?)


 1周回って冷え冷えとした頭から違和感を受け取る。


 よくよく考えてみれば、この爺さんに嘘をつく必要はないのではないか?


「あの、すいません。俺が西代の恋人っていうのは嘘です」

「……なんだと?」


 今、お爺さんは『桃に男なんぞ不要だ』と言った。それはつまり、垣蔵さんは孫娘を他の誰かにくれてやるつもりが、そもそもないのではないだろうか。


「俺はアイツの男避けのためについてきただけなんですよ」


 事態をなんとかする為、正直に嘘を自白した。


「…………そういう事か」


 ポツリと、毒気が抜かれた言葉が聞こえてくる。


「たしかに、ははは、あの子がやりそうなことだ。くくっ、得心した」


 顔を手で覆い、クツクツと垣蔵さんは笑った。その姿に先ほどの狂気は感じられない。


「怖がらせてすまなかったな、若いの。非礼の詫びだ。5束ほど持っていけ」

「い、いえ。遠慮させていただきます」


 撤回する。狂気的だ。


「ぐわははははは!! 桃の友人という割には普通だな、小僧!!」


 俺が只の友達と知って機嫌が良くなったのか、垣蔵さんは堰を切ったように大笑いを始めた。


「…………」


 大成する人は、どこか頭のネジが外れているものなのだろうか。目の前のお人の倫理観と金銭感覚は常人とはかけ離れていた。


「はははっ、そうかそうか。……しかし小僧、桃の我儘に付き合わされるとはとんだ災難だったな」

「はぁ、災難……ですか?」


 災難は貴方と関りを持ってしまった事のような気がします。


「その格好では、会場には大層居づらかったろう? リクのヤツが怒って因縁をつけてこなかったか?」


 リク。それは先ほど、会場で西代を虚仮にしたヤツだ。


「………………俺には特に。西代には絡んできました」


 俺はなるべく簡潔に返事をした。『この後、ぶっ飛ばす予定です』とは口が裂けても言えないからだ。


「ははっ、そうか」


 俺の一言で何かを察したらしく、お爺さんはまた笑った。


「まぁ、許せよ。アイツは将来的に家督を桃に奪われる。そのせいで、アレだけ優秀であるのにも関わらず劣等感に苛まれているのだ」


 お爺さんは、あの野郎の背景を話し始めた。


「劣等感をバネに自分を必死に磨き上げ、研磨する……どうだ、愛くるしいだろう?  儂はリクを見るたびに強く抱きしめてあげたくなる」

「……か、変わった感性ですね」


 俺は同意も否定もしなかった。

 垣蔵さんは、西代の祖父であると同時に、あの野郎の祖父でもある。少し歪な感じはするが、両方を可愛がっているのだろう。


「よく言われる。まぁ、リクの父親の弁護士事務所も儂が建ててやった物だ。アイツの父親も儂のやる事に文句は言わん。そもそも、親族で儂に文句を言う奴なんて桃くらいしかおらんが」

「…………あの、ちょっと聞いていいですか?」

「ん、なんだ?」


 最初の変な雰囲気も和らいだので、俺は垣蔵さんに西代を取り巻く特殊な環境について質問をすることにした。


「貴方って、凄く偉い立場の人間ですよね? 東城家でトップで、権力がある感じの……」

「そうだな。東城は、儂の祖父の代から讃岐さぬきの豪家だったが、儂が政界で伸し上がったおかげで更に家名を躍進させた。今では四国の中で随一の名家だ」


 俺が知らないだけで、東城家は地方では有名な家系らしい。


「西代家の他にも分家は数多くあるが、親族の中に儂に逆らえる者はおらんよ」

「……なら、なんで西代の現状を放っているんですか?」


 俺は当然の疑問を口にした。


「アイツが親族間で疎まれている事は、貴方も把握してますよね」

「まぁな」

「まぁなって……」


 他人事みたいな言い回しに、俺は少しイラつきを覚えた。


「……貴方が一声かければ、周りを黙らせるくらいの事はできるんじゃないですか?」

「それではあの子の成長に繋がらんではないか」


 垣蔵さんは差も当然と言った強い口調で俺の疑問に答えた。


「人の成長にはストレスが必要だ。儂は、あの子にはこれぐらいのやっかみを跳ね除ける力を身に着けて欲しいと思っている」


 真面目な表情で、垣蔵さんは自身の子育て論を語った。


「桃は儂の血を色濃く受け継いでいる。成人を迎えたがあの子はまだまだ育つぞ。それに加えて、これからは女の時代だ。古くから続いた男尊女卑の反動が、時代のうねりとなって押し寄せる。儂の親族の中で一番の出世株は女の桃だ。桃は将来、ことごとくを打ち破り人を蹂躙する傑物になる」

「…………な、なるほど」


 言っている事は半分くらいしか分からなかった。だが、ニュアンスは理解できる。


 この爺さんは、孫を愛しているが甘やかすつもりはないらしい。西代に、自分の力で、周囲を変えて欲しいと思っているようだ。


「……………………」


 それなら、人脈も西代の力の内に入るはずだ。


 俺はそっと財布とバイクのキーを机に置いた。


「ん? どうした小僧。財布と鍵なんぞを置いて」

「やっぱり、やりましょうか」

「……何をだ?」


 目の前に手っ取り早く、問題を解決できそうな人と手段がある。それなら、挑まない理由はない。


花札はなふだですよ」


 会って数分だが、それだけでこの人の性格はかなり理解できた。目の前の厳つい老人は、酒飲みモンスターズの格上混合物。大悪党の人格破綻者だ。


 勝手に想像して申し訳ないが、きっと政治家だった若い頃は汚職や卑怯な策略に手を染めて、高笑いしながら周りを蹴散らしていたのだろう。……俺はそういったクズの習性には詳しい。


「俺が負けたら、俺の全財産を差し出します」


 悪くて面白そうなことには絶対に乗ってくる。若人から金を巻き上げるなど、楽しくて仕方ないはずだ。


「ただ、貴方に賭けていただきたいのはお金じゃない」


 ……今から俺がやろうとしている事は、ただのお節介だ。西代は周囲を気にしていなかった。あのムカつく空気を、彼女はスルーできていた。彼女にとっては、あれは他人が吐いた煙草の煙程度の認識なのだろう。


 だが、俺は短気だ。どうあっても、あの空気を許容する気は無い。


「俺が勝った場合は、西代を取り巻く現状を変えて頂けませんか。貴方ならできますよね?」

「……ほぉ」


 俺の予想通り、爺さんは楽しそうに笑いしわを深めた。顎を撫でながら、俺の提案を微笑を浮かべて吟味している。


「お前が賭けるのは、そのちっぽけな財布とバイクのキーだけか」

「はい。俺が差し出せるものはこれしかありません」


 素直に自分が吐き出せる物の価値を申告する。ここで嘘をついても仕方がない。


「ですが、このバイクは50万ほどで購入しました。売れば40万にはなるでしょう」

「なるほど……バイクは当然、自分の稼ぎで買った物だろうな?」

「そうです。まぁ、親に仕送りを貰って生活をしている身ではありますが」

「学生なぞ、皆そうであろう。親に頼り切って暮している者よりは立派だ」


 意外にも、垣蔵さんは俺をフォローしてくれた。


「だが、お前が負けたら、儂は本当に全てを持っていくぞ? 当然、キャッシュカードの中身もだ」

「……2つあるキャッシュカード内の片方は見逃してください。そっちには親からの仕送りが入ってます。俺の金じゃありません」


 そっちは俺が自由にしていい金じゃない。俺の生活費にしか使ってはいけない物だ。


「もう片方には10万ほどあります」


 俺がバイクを買ったのが2月3日。俺が入院したのは3月の初旬。つまり、2月分のバイト代はしっかりと振り込まれている。この10万はバイクを買った余りの金と1月分のバイト代だ。


「もし俺が負けたら、バイクも含めて全額持って行ってください」


 趣向品と遊び、それと安瀬との旅行を豪華にするために残しておいた虎の子の貯蓄。これが無くなれば、俺は次のバイト代が入るまでまた禁酒する羽目になる。


「足りんなぁ」


 意地の悪い顔をして、爺さんは提示した賭け金に文句をつけた。


「50万と言う額も半端だ。この儂を賭けのテーブルにつかせたいと言うなら、最低でもこの倍は用意せんとな」


 含みがある口調だった。


「……どうすれば、受けていただけますか」

「望むなら、50


 爺さんは1枚の紙とペンを机の引き出しから取り出した。


「一筆、借用書を書いてもらおう。それで良いなら、その条件で勝負を受けよう」


 さすが元政治家。交渉の押しどころという物に見識がありすぎる。


「分かりました」


 ノータイムで返事をした。もはや自棄やけだ。とことん、冷えた金属の感触に従う。


「おい、儂はどんな手段を使っても負債を完済させるぞ。泣き落としは通じんと思え」

「分かっています。返済には時間がかかるでしょうけど、負けた場合は絶対に支払いますよ。……もちろん、俺が稼いだ金で返します」

「お前、学生よな? バイト代はいくらだ?」

「時給1028円です」

「……………………ぶははははははは!!」


 俺のバイト代を聞いた途端、爺さんは爆笑した。


「つ、つつましい稼ぎだな!! し、しかし、笑ってはいかんか!! 学生ならそんな物か!! ぐわはははははは!!」

(…………死ぬほど笑ってんじゃん)


 たしかに、1028円は県が定める最低賃金。それでも、庶民の俺からすればけっこう貰えている方だと思う。まぁ、金持ち一族の頂点に立つ爺さんには嘲笑の対象のようだけれども……。


「くくくっ。雀の涙のような稼ぎのくせして、ただの友人の為に100万を賭ける。……随分と男前だな、小僧?」

「……別に、そんな話じゃないですよ」


 そうだ。こんな勝負は美談なんかでは決してない。これは、俺が俺の為だけに行う違法な賭博。王道から外れた、いつも通りの悪だくみ。


「愉快に歪んでいるな。面白い。その挑戦、受けてやろうではないか」

「ありがとうございます」


 ……自分で言いだした事だが、スリルで胃が縮み出した。本当に、なんでこんな話になっているのだろう。


 負ければ何も得られずに、半年も働いて買ったバイクと貯金を失い、50万もの借金を負う。加えて言えば、安瀬と約束した旅行がさらに遅くなる………それは何よりも嫌だ。


 それに反して勝って得られる物は、自分の中で少しだけ恰好がつくだけ。そんなもんだ。リスクに対してリターンがまるで合ってない。1人で空廻っているようで馬鹿みたいだ。


(やってやるよ……)


 ただ、勝ちたいと言う気持ちだけは無限に溢れ出していた。


************************************************************


 手八場八てはちばはち。お互いに手札が8枚、場札に8枚が置かれて、1回戦は始まった。


 季節の花々が描かれたカード。俺はそれをブラインドにして自分の表情を隠し、目だけで対戦相手の顔を盗み見る。


「ははは、手が悪いな。これはカス1点役でゲームを流すしかないか」


 垣蔵さんは余裕そうに札を眺めてニヤついている。いきなり揺さぶりをかけてくるとは、随分と茶目っ気がある爺さんだ。


「そうですか。俺の方は中々良い手が入りましたよ」


 花札は自身の手札で場札を取り合って、役を作るゲーム。相手の役の成立を邪魔しつつ、自分は点数が高い役を早く作るのが基本戦略だ。よって、最初に配られた手札で、ある程度作る役の方針が決まる。運ゲーであり、頭脳戦。


 俺の手札には短冊札が3枚。場札にも短冊が3枚。光札が場に出ているので、そちらが先に取られるだろう。なので、優先して短冊札を取りタン役を成立させたい。


「じゃあ俺からですね」


 カードが配られる前に、先攻後攻は決めておいた。札を重ねて、短冊札を場から取る。


「なら儂は定石通りに……」


 今度は場から光札が取られた。


「………………」

「………………」


 パシパシっと交互に手札と場札を重ねて、無言で場札を取り合っていく。花札に慣れているの者であるなら、序盤のスピードは速い。深い駆け引きが始まるのは互いの狙い役が分かりだした中盤以降だ。


 場は進み、場札が半分になる。


 順調に短冊札を集められてはいるが、爺さんの取り札には光札が2枚。


(何が手が悪いだ。ちゃんと光札強い手があるじゃねぇか)


 ……胃が痛くなってきた。


 賭けている物が大きいせいか、手汗が滲みでる。威勢よく勝負に挑もうとも、小市民な性根は誤魔化せない。


(お願いします。頼むから光札は引かないでください……!!)


 早速ピンチだ。

 めくり札から雨札以外の光札が出てくれば、5点役三光が成立してしまう。俺はとにかく神に自分の幸運を祈った。


「小僧、お前は桃とはどれくらいの付き合いだ?」


 垣蔵さんは札束からカードをめくりながら、俺にそう問いを投げかけた。引かれた札はただのカス札だったので、幸運にも役は成立していない。


「なんですか急に? 今は勝負の最中ですよ」

「別に良いだろう。賭博の余興だ。雑談くらいは付き合え」


 真剣に思考を巡らせる俺と比べて、垣蔵さんは気楽そうだった。


「……1年と少しですね」


 胃痛を紛らわせるため、少し話に付き合う事にした。


「そこそこあるな。なら、お前さんに1つ聞こう」


 垣蔵さんは手札ではなく、俺の顔を見ながら口を開く。


「お前さんはもしかして…………桃の事が好きなのか?」

「んん゛゛っ」

 

 予想外の口撃に、手札を落としかけた。


「…………ま、まぁ、嫌いじゃないですけど」


 こういった話題を振られることは多いが……正直ちょっと苦手だ。男女が一緒にいると自然に発生してしまう話の種なのだろうが、俺たちに恋愛なんて一切似合わない。何よりも、俺が相応しくない。


「酒飲んで遊ぶだけの友達関係ですよ。俺も西代も、付き合ったりする事を望んでいません」


 次は俺の手番だった。

 松の札が欲しいので、俺は山札からカードをめくる。引いたのは梅のカス。これじゃない…………なんか、嫌な気分になるな。


「なるほど、嘘をついているわけではないか。くくくっ、そうか。てっきり、儂の可愛いすぎる孫娘に惚れておるかと思っていたわ」


 人を喰ったように、垣蔵さんは静かに笑う。……笑い方や雰囲気が西代とよく似ているように感じた。


「しかし、友人のままが良いとは珍しい奴だ。桃には縁談の話がそれこそ山のように来ていたというのに」

「縁談ですか?」

「あぁ。大抵は儂の遺産や父親の名声、もしくは上っ面の美貌が目当てだったので握りつぶしたがな」

「想像がつきますね」


 大学でも彼女はかなりモテていた。見知らぬ相手に告白される所を見かけた事がある。小柄で美人。そしてパッと見て御淑やかな佇まいが男を引き寄せるのだろう。魔性だ。


「まぁ、それ以外のあの娘の魅力が分かりにくいのは認めるがの…………お前はどう思う? 1年もの付き合いと言うなら、桃の非凡な所を答えてみよ」

「えぇ?」


 勝負の最中にそんな事を言われても困る。今必至で、次に出すべき月の札を考えている所だ。


「まぁ、順当に言えば思い切りの良さとか決断力とかじゃないですか?」


 俺は思ったままの事を適当に口にした。


「…………なに? どうしてそう思う?」 

「ほら、西代って火事場で誰よりも早く物事に対処するじゃないですか」


 俺が言っている火事場とは過去の3場面だ。


 文化祭で俺が過呼吸を起こした時。

 元賃貸で火事が起きた時。

 警察にパトカーで追いかけられて捕まりそうになった時。


 どの出来事も、。あの安瀬や猫屋が困惑する中で、西代だけがトップスピードで判断を下した。肝が据わっているので冷静なのだろう。


 西代の凄い所は、今日聞いたばっかりの文系的な才能では決してない。


 西代は緊急時の判断が早く、それでいて狂っている。パトカーに追いかけられた時の第一声が"逃げろ"というのは本当におかしいと思う。


 安瀬の影に隠れがちだが、西代もかなり異常だ。


「貴方が西代を……後継? ってやつに選んだ理由もなんとなく分かりますよ。西代は咄嗟の判断が別格に早いですよね。……それが正当かは置いてですけど」

「……!!」


 貴方のお孫さんは異常ですね、と言う訳にもいかないので言葉の体裁を整えた。俺の言っている事は、今日の停電中にだって当てはまっている。西代が咄嗟にキレた俺を皿で殴らなければ、俺は前科者になっていたに違いない。


「さぁ、垣蔵さん。あなたの手番ですよ」

「……………あぁ、そうだな。お前の言う通りだ。儂の一族には優秀な者は掃いて捨てるほどいる……。だが、儂に似て頭のネジが外れているのは桃だけだ……」


 ブツブツと小声で何かを呟きながら、垣蔵さんは山札を1枚めくった。


「ん、おぉ、運がいい。これで三光だ」

「げぇ!?」


 話の腰を折るようにして、5点役が飛び出した。


 こ、これは不味い……。


「当然、こいこいはしない。1戦目は儂の勝ちだな」

「ぐ、ぐぐぐっ」


 タンを早く作ろうとして、相手の役作りに無頓着だったのが良くなかった。5点は決定的な点差という訳ではないが、3月戦でこの差は痛い。


「さぁ、次戦と行こうか」


 垣蔵さんが先ほどまで使っていた札を綺麗にかき集める。


「は、はい」


 返事が上ずった。ほ、本当に負けたくない。……もし負けたら安瀬になんて謝ろう。


 いつだって、博打は敗北の兆しが見えた時に後悔する物だが…………過去最高に苦しくなってきた。胃痛に追加で吐き気も込み上げてくる。


 こ、ここからはもっと慎重に手札を出していこう。


「……小僧」


 垣蔵さんは淀みない手付きで花札を切りながら、俺を呼んだ。


「桃の婿むこに立候補する気は無いか?」

「ん、え、婿?」

「あぁ、儂が特別に許しを出してやろう」


 シュッシュッと札同士が擦れ合い、小気味の良い音を鳴らす。


 垣蔵さんは、手元を見ずにカードを切り続けている。視線は俺の顔の方だ。真剣な表情をして、俺を見ていた。


「桃の態度を見る限り、お前さんはかなり気に入られているようだ」

「……そうですか? 別に普通でしょう」

「いや、あの娘はかなり気難しかっただろう? 桃は儂に似て排他的な所がある。よくそこまで懐かれたものだと感心する」

「……はぁ、どうも」


 気の無い返事を返した。


 大学に入学して、俺が酒飲みモンスターズの中で一番初めに仲良くなったのは西代だ。なので、気難しいと言われてもあまりピンとこない。


「それに、お前は桃を正確に評価した。あの娘の異常性を受け入れている、その器の広さも好ましい」


 交互に、俺と垣蔵さんの前に手札が投げられていった。


「孫娘の伴侶としては悪くない。いや、むしろ、その特異性……儂はお前を気に入ったよ」


 互いに2枚の札が配られる。


「お前さえ良ければ、桃をくれてやってもいい。お前はこのままの関係が良いと言っていたが、本当に、桃とねんごろな関係になりたくはないのか?」

「…………」


 俺はただ黙って垣蔵さんを見ていた。


「どうだ、小僧? 悪い話ではないだ──」

「待てよ、爺さん」


 3枚目のカードを配ろうとする爺さんの手を握って止めた。


「今、

「………………はて? 何のことだ?」

「とぼけるな狸ジジイ。こっちは全財産を賭けてんだよ」


 失礼だとは思うが、口調を荒げた。サマを指摘する時は強気でないといけない。


「特別だとか、気にいっただのと……若者を調子に乗せるお言葉がお上手ですね」


 会話で相手の注意を逸らすミスディレクション。イカサマをやる際の常套手段だ。


「会話で気を逸らしながら、オーバーハンドシャッフルで底札を調整してからのボトムディール。これで好きなカードを1枚自分に配れる」


 文字通り、俺はしっかりと現場を抑えていた。カードを挟んでいる爺さんの指には、底札が握られている。


「それと、最上段2枚がカードを集めた時のまま変わってませんでした」


 フェイクシャッフルだ。先ほど使われた札を集める時に、欲しい手札を最上段に置いて、混ぜたように見せた。


「最上段2枚を自分に配る為に、途中、セカンドディールで要らない札を俺に渡した。これで、貴方は好きなカードを合計3枚も手中に収める事ができる」


 垣蔵さんが握っていた底札を、裏面のまま机の上にそっと置く。机の上には垣蔵さんに配られる予定だった3枚が揃った。


「この3枚は"月と桜の光札"。それと、"菊の盃"」


 俺は裏面のまま3枚のカードの内容を予想してみせる。その後で、実際にカードをめくって手に取った。


 現れたのは、俺が予想した3枚だ。


「………………」


 垣蔵さんはここまでの解説を驚いた顔をして聞いていた。


 花見で一杯、月見で一杯。

 この3枚は上手くいけば3ターンで5点役が2つ成立してしまう強手。こいこいを宣言して点を倍にすれば20点になる。短期決戦の3ヵ月では致命打となる点数だ。


「少し、完璧すぎるな」


 この勝負の中で、垣蔵さんは初めて焦ったような声を出す。


「儂の札捌きは耄碌していないはずだ。怪しい動作は一切見せなかった」


 事実だ。爺さんのシャッフルはごく自然に行われており、違和感など微塵も感じなかった。変な会話さえなければ、俺はイカサマを指摘すらできなかっただろう。


「なのにお前は的確に現場を抑え、その手順と内容まで完璧に理解している。大勝負の場で、凡夫にできる芸当ではない。何故……そこまで看破できた?」



 先週、お孫さん西代がまったく同じことを安瀬にやっていたからです。



「な、何故でしょうね」


 ここまで威勢よくイカサマを解説していた俺だが、恥ずかしくなったので咄嗟に視線を逸らした。


 何故か安瀬の狂気が控えめだった先週。彼女は度々、西代と花札で遊んでいた。その際に、西代が同じイカサマを安瀬に仕掛けていたのだ。


 西代の手札捌きも祖父に劣らない物だったろうが、安瀬は、その手順と内容を完璧に指摘してみせた。


 つまり、このイカサマを見破ったのは安瀬だ。俺ではない。俺は2人がキレて喧嘩していたのを覚えていただけだ。


 …………とにかく安瀬が凄い。アイツ、マジでおかしい。気狂いの癖にスペックが高すぎる。頭の中どうなっているんだ…………後でちゃんとお礼を言っておこう。


「と、とにかく!!」


 人の褌で相撲を取っているような気分だが、ここは強気に押さなければいけない。


「イカサマは当然反則負けです……!!」


 俺は3枚の不正札を勢いよく机に叩きつけた。


「この賭けは俺の勝ち!! 俺の勝ちです!! そうですよね!! そうなりますよね!!」

「あ、あぁ……」


 有無を言わせぬ俺の勝利宣言に、垣蔵さんはポカンとした顔を見せた。


「……くくっ、ははは」


 そして次の瞬間、堪えきらないように笑い始める。


「はっはっはっは!! あぁ、そうだ!! たしかに儂の負けだ!! やるな小僧、恐れ入った!!」

(……か、勝ったぁあああ!!)


 内心で絶叫する。運と勢いだけの大博打だったが、俺はなんとか勝ちを拾った。50万円の資産を守り切り、借金を背負う事なく、自分の我儘な願いを押し通す事ができてしまった。


 珍しく、俺の悪だくみは完璧に成功したのだった。

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