第14話 現実世界

 社長は牛丼を氷を生み出し、会社の方へと吹き飛ばした。


社長

「さてと、始めようか。」


 社長はそう言うと、持っていた剣を地面に突き刺した。


社長

「来い、ワイバーン!!」


 瞬間。


 社長の地面から巨大な光が出現した。


 同時に、地響きと地鳴りが起きた。


―― ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!


 次の瞬間には、社長の目の前には巨大なワイバンがいた。


社長

「凍りつくせ、ワイバーン。」


 すると、ワイバーンは街やその周りにいる魔物たちを凍らせ始めた。


 その凍った魔物を社長は一気に切り落としていく。


社長

「これが私の本気だよ。」


社長

「私の大事な勇者に手を出そうとするなら、私が許さない。」




◇◇◇◇◇




《西暦2061年5月13日・現実世界》


 扉をくぐった牛丼たちを膨大な強さの光が襲った。


 そのため、しばらくの間目の前が見えなくなってしまっていたが、それとだいぶ落ち着いた。


牛丼

「す、すごい本当に現実世界に帰ってきてる。」


 牛丼はそう呟いた。


 そして、牛丼たちの目の前にあったとある建物に牛丼は感動しそうになった。


 牛丼たちの目の前にあったのは、牛丼屋『吉田家』。


牛丼

「吉田の爺さん……。」


 牛丼はそう呟き、そして、吉田家の中に入っていった。


店員

「何名様ですか?」


牛丼

「2人です。」


店員

「ふた、り?」


 店員には、牛丼1人の姿しか見えていない。


 不思議に思った店員は、ゆっくりと牛丼の足元を見てしまった。


 そこには、手のひらサイズくらいのスライムがあった。


 だが、そのスライムはただのスライムではない。


スライムくん

「ボクもお客さんなんだよ!!」


―― チーン


 スライムが喋ったことに驚き、店員はその場で立ったまま気絶していった。


牛丼

「やばいことしちゃったかも。」


 その時、厨房の奥からもう1人の店員が出てきた。


牛丼

「あ! 吉田の爺さん!!」


吉田

「ん? おー、牛丼じゃないか!!」




 牛丼は、勇者になった報告と勇者になってからの事を吉田に話した。


 当然、師匠のと出会いもヒナとの出会いも仲間ができたこともスライムたちと絆を結んだことも。


 家族を小さい時に失ってしまっている牛丼は、この吉田に育ててもらっていた。


 そして、吉田は牛丼が勇者になることを認めてくれていた。


吉田

「そうか、お前が無事に勇者になれて良かったよ。」


牛丼

「ありがと!」


牛丼

「それでさ、吉田の爺さん。1つ聞きたいことがあるんだよね。」


吉田

「なんだ?」


牛丼

「テドンって人知ってる?」


吉田

「テドン? 大工のテドンか?」


牛丼

「やっぱ知ってるよね! 俺、今その人を探してるんだ。」


吉田

「そうなのか、じゃあテドンを呼ぶとするか。」


吉田

「ちょっと待っておけ。」


牛丼

「ありがとう!!」


 すると吉田は、厨房の中な入っていき、電話をし始めた。


 その時だった。


―― ブーブー


 牛丼のポケットの中から振動が伝わってきた。


牛丼

「ん? なんだ?」


 牛丼はポケットからユウホを取り出した。


 するとそこには、『現実世界にて、魔物出現。至急、対処せよ。』と書かれていた。


牛丼

「マジかよ!」


 その時、吉田家に置かれているテレビも昼番組からニュースに切り替わり、街の中で暴れている怪物の中継映像が流れ出していた。


牛丼

「俺か行かないと!!」


牛丼

「行くよ! スライムくん!!」


 牛丼は吉田家を飛び出した。




――――――――――




牛丼

(確かこの辺なんだが。)


 牛丼は、ユウホの位置情報を頼りに、魔物がいるであろう場所を特定していく。


 すると、その時建物と建物の間から植物のつるが伸びて、牛丼の足を捕まえ、そして、引きずり込もうとした。


牛丼

「くっそ! やめろ!!」


 牛丼はそう叫び、剣を抜いて、植物を斬った。


牛丼

「こっちに魔物がいるんだな。」


 そして、牛丼は剣を握り直し、蔓が伸びてきた方へ走り出した。

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