第11話 敵討ち

 スライムくんが【水鉄砲】で牛丼をサポートし、牛丼が直接、ラドリーと剣を交える。


―― キンッ!!

―― スゥーッ!!

―― ドンッ!

―― カァァンッ!!


 金属と爆発の2つの音が鳴り響く中……。


 スライムくんの【水鉄砲】によって、ラドリーの持っていた剣が空中へ投げ飛ばされた。


牛丼

(今だ!!)


 生まれた隙。


 これを逃す訳には、いかない!!


牛丼

「【ボルケイノ】第参奥義!!」


―― キュイィィンッ!!


牛丼

「【音速一閃突】!!」


―― スッッ

―― ドンッ!!


 目で追えないほどの速さの剣が、ラドリーの腹部を貫いた。


牛丼

「やった……のか。」


牛丼

(でも、なぜか手応えがない。)


 その時だった。


???

「ウフフフ! グウフフフフフフフフフ!!」


???

「ヌゥア、ハァァァハハハハハハハハハハハハハハ!!」


???

「実に、実に滑稽だァァァァァァァァァァァァ!!」


牛丼

「おい、どこだ。」


牛丼

「ラドリー!」


ラドリー

「アナタ達が頑張って倒したそれは、ワタシの身代わり人形ダネ。」


ラドリー

「ワタシは安全な場所から、アナタたちの様子を見ていたダネ。」


ラドリー

「『ボルケイノの継承者』。」


ラドリー

「アナタ、今タクトの森にいるのダネ?」


ラドリー

「でも安心するのダネ!」


ラドリー

「私はもうタクトの森に用はないのダネ!」


ラドリー

「だから、アナタたちは安心して森で暮らすと良いのダネ。」


ラドリー

「でも、あまりゆっくりはしていられないダネ。」


ラドリー

「ワタシは、来たる日のために力を蓄えておく。」


ラドリー

「アナタも早く強くなるのダネ。」


 ラドリーの声は、牛丼が倒したラドリーの身代わり人形の中から聞こえていた。


牛丼

「くっそ!!」


――ドンッ!


 牛丼は、自身の拳を地面に勢いよく叩きつけた。




◇◇◇◇◇




《西暦2061年5月3日・タクトの森》


 夜。


 牛丼はリコに手当てをしてもらいながら、スライムくんと話をしていた。


牛丼

「そんで、スライムくんたちよ。これから、どうするつもりなんだい?」


スライムくん

「ぼ、ボクたちは、これから自分たちの住む場所を探すことにするよ。」


牛丼

「行く宛ては?」


スライムくん

「……ない。」


牛丼

「ほほう、それならスライムくん!」


牛丼

「俺から良い提案があるんだけど。」


スライムくん

「な、何?」


牛丼

「俺たち、これからここで暮らす予定なんだ。」


牛丼

「そんで思ったわけよ。たくさん人数いた方が盛り上がりそうで楽しそうだろ?」


牛丼

「だからさ、スライムくんたち。俺たちと一緒に暮らさないか?」


スライムくん

「い、いいの?」


牛丼

「俺たちは構わねぇさ。」


スライムくん

「それじゃぁ、喜んで!!」


 この日、牛丼たちはスライムの群れと仲間になった。


ケンタ

「推奨。絆を結ぶことをオススメしよう!!」


 その時、牛丼の懐からユウホが飛び出して来た。


牛丼

「うお! いきなりなんだよ。」


牛丼

「それに、久しぶりすぎる登場じゃね?」


ケンタ

「説明。仲良くなったモンスターとは、絆を結ぶことが出来るぞ。」


ケンタ

「絆を結ぶことで、色々と嬉しいことがある。」


ケンタ

「絆を結んだモンスターを好きな時に召喚することが出来るんだ!」


牛丼

「たしか、デストライトにも同じような機能があったような。」


ケンタ

「正解。デストライトにも絆というシステムがあった。」


ケンタ

「デストライトと同様、モンスターとの絆は、仲間を表すとても大事なものだ。」


 牛丼はスライムくんの顔を見た。


スライムくん

「……」


牛丼

「スライムくん」


スライムくん

「はい!」


牛丼

「俺と絆を結んでくれ!」


 牛丼はそう言うと、自身の拳をスライムくんへ向けた。


 スライムくんもその拳に自身の身体を重ねた。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




《西暦2061年5月6日・タクトの森》


牛丼

「そんじゃ、行ってくるわ!!」


セイヤ

「お気をつけて!」


タツヤ

「怪我して帰ってくんなよ!」


リコ

「ほ、ホントーですからね!!」


 この日、牛丼とスライムくんは会社がある街『カマーム』へ向けて出発した。


 理由は簡単。


 スライムと仲間になったこと。


 そして、ラドリーの身代わり人形と戦ったこと。


 最後に、今後の森での事についてだ。


 今後、森で生活するにあたって、しっかりとした家が欲しい。


 だから、大工が必要になってしまった。


 社長なら、何か力になってくれるかもしれない。


牛丼

「よっしゃ、行くぜ! スライムくん!!」


スライムくん

「はーい!!」

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