第20話 同窓会の誘い
二十数年後。
ミチエが目の悪いおじいさんの肩を軽く叩き、話しかけた。
「
ミチエのほおには以前より肉がついていた。
「うん大丈夫」
ミチエはおばあさんの口にスプーンでご飯を運んだ。
「おいしい。ミチエちゃんのご飯はおいしい」
ミチエは笑った。
「ミチエちゃん
「あ、はい」
ミチエが部屋から出て行こうとすると、おばあさんに声をかけられた。
「ミチエちゃんまたきれいになったね」
「え?いや、そんなことないですよ」
「ううん。女優さんみたいだよ」
「ほんとだね」
ミチエは何と言っていいかわからなかった。
「
だが嫌な
ミチエは座ったまま、
「ブスだなあ」
十数年前に管理栄養士の資格を取得し、食生活に気をつけるようになったからか、あるいは長年の悩みが消えたせいでストレスがなくなったからか、年齢のわりには若いとは思う。でもブスはブスだ。
だが、だからといってどうこうしようとはもう思わなくなった。毎日忙しいので、いつのまにかそんな気も失せた。
女性の
「ミチエちゃんお
「あ、はい。でも
「そうだね。でも忙しい中ミチエちゃんはよく資格を取ったよ。しかも料理も作ってもらって悪いね。人手不足だし、ミチエちゃん
「あ、料理は大丈夫です。私、料理をおいしいって言ってもらえるのが一番嬉しいんで。
この
「ミチエちゃんってさ、話す時まず『あ』って言うよね。利用者さんも言ってたよ」
「あ、そうですか?……あ」
ブーっと、ミチエのスマホに
メールが届いていた。
中身を確認し、ミチエは目を見開いた。
「カンナちゃん?」
カンナからのメールだった。件名には、
あるホテルの大広間の、
ミチエはスマホを取り出し、カンナのメールをもう一度確認した。
『今度オケ部で
ミチエは
カンナにさんざんひどいことを言ってしまったのに。
オケ部の仕事だって
カンナちゃんやサトミ
ミチエはカンナと初めて会ったときを思い出した。
高校の入学式で、勇気を出して話しかけてくれた。
大学でもずっと友達でいてくれた。
働き出してからも、ずっと心に引っかかっていた。
カンナちゃんに
ミチエは思い切って
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