第8話 やっぱり
次の日の昼休みに弁当を持ちながら生徒会室へ、正直メンドクサイし一方的な待ち合わせに付き合う義理は無いのだけれど、やはりスッキリしないので来てしまった
コンコン…とノックをしてみるも返事がない…
まだ来てないのかな?
ま、待つぶんには問題無いからしばらくここで…
‥‥‥‥‥
来ねーな…
此処は静かだし此処で食うか…
‥‥‥‥‥
『ご馳走様』
‥‥‥‥‥
ってかホントに来ねぇのかよ!?
‥‥‥‥‥
時間だし戻るか…
‥‥‥‥‥
「はぁ‥‥‥‥‥やっぱりこの学校ってクソだな‥‥‥まぁこれで生徒会に入らなくて済むから良しかな…ってかもう帰りてぇ~」
◇
ごめんなさい!呼び出したの私なのに出られなかった!昨日の事思うとなんか恥ずかしくって!!
私の一方的な呼び出しに応じてくれたのは感謝してますが、さっきの言葉は本音でしょうね…さて今更ながらどーしましょう?手遅れしかない気がしますが…どうしましょ?
◇
カタカタカタカタカタカタ‥‥‥
「ねぇ裕翔君なんか機嫌悪い?」
「いえ、思う事は有りますけど、機嫌悪いとかは無いですよ」
「学校で何かあった?」
「あーマジで学校辞めたくなりましたね」
ってか裕翔君。仕事に集中しないで!
やばい…明日の私の作業量がどんだけ増えるんだろう…
頑張れって言っちゃった手前、こうなった裕翔君は手が付けられない。
あぁ~教えられた事すらまともに出来ないのに更に仕事を増やされる覚悟は出来ないんだよ!
「裕翔君これ確認して貰っていい?」
「解りました」
カタカタ、カリカリ、チラチラ…
ヤバい!?裕翔君本気でイライラしてる…
「ふむ…黒崎さん、これどのくらいの時間かかりました?」
カタカタ…カリカリ…
「えっと‥‥‥今日一日掛かりました…」
その言葉にピタリと動作を止めた今日初めてビックリした裕翔君と目が合いました
「‥‥‥‥‥えっと‥‥‥この程度なら2時間目標にしましょうか?」
え˝っ!?
嫌嫌嫌嫌いや…無理だから!
ほんと無理だから!
そんなことが出来るのって裕翔君だけだから!!
「えっと…私は頑張ってるつもり…だけど…えっとそんな…その‥‥‥」
「あっ!?あくまで目標であって直ぐにじゃないですよ!徐々に慣れて貰えばいいだけの話なので」
ちっがうのよ!一つの事を短縮するのと、大量な案件抱えてる裕翔君とじゃ違い過ぎるのよ!PCモニター3つも抱えてる貴方がオカシイのよ!いい加減気づけ!!!!!
3つの画面見ながら、メモ取りながら、私の対応とかおかしいでしょ!!
イライラでガチスペック発揮されるとこっちが困るんですけど~
「あっ黒崎さんここ修正お願いします」
‥‥‥‥‥あっはい
コレ終わらないと帰れないよね?
「黒崎さん、作業に慣れるのに量を増やすのと数を増やすのどちらが良いですか?」
えっ?どっちも嫌だけど!?
「えっと…」
「ん~じゃぁ明日は別案件色々用意しておくので、その処理をお願いしますね」
あーこれは何を言っても駄目な感じだね。明日の残業確定だよ…覚悟するかぁ~今日はまだ火曜日なんだよ!誰だよ!裕翔君をこんなにした奴出て来いよ!!
裕翔君と一緒に仕事を始めて気づいたんだけど
この子オカシイよ!モニター3つとかそれだけで異常でしょ?
作業しながら電話対応とか、周りに気を遣うとか、私への対応とか…
そんな異次元空間に放り込まれた私は、言われたままの作業をこなしていた
最初の1週間は良かった。年下だし可愛いし優しいし…だけど裕翔君が学校に通う様になってからは明らかに作業スピードが上がって、何かをぶつける様に仕事に没頭し始めてからは、このチート野郎の正体を把握した
何もかもが足りない私だけど、この子がオカシイのは直ぐに理解した…
私が与えれた作業なんて裕翔君だったら1時間で終わる。
慣れろ!と、言われたけど無理だから!
怒られないだけマシかもだけど、裕翔君の無言のプレッシャー?出来て当たり前!みたいな雰囲気出すのヤメテ!
なんか色々仕事にぶつける様になったのは明らかだけど…
『女子高生の事教えて欲しい』って言われた時は裕翔君がちゃんと理解しないとね?なんてお姉さんぶっちゃったけど、ダメだったらしい…
裕翔君は基本怒らない。重い溜息はあるけど…多分だけど自分の中に溜め込んで自己完結する人なんだと、なんとなく理解出来る。初日に色々話してくれたし。だけどまだまだ私は裕翔君の事理解して無い、だから観察した!
結果!チート野郎が判明しました!
裕翔君は思いの何かをぶつける様に作業してます。
正直私要らない子じゃない?と
裕翔君と同じ作業は絶対出来ない。目も頭もそんな何個も付いて無いし!!
そんな姿を見せられた私は、年上だからとかが吹っ飛んだ!
新人だし相手は子供だしって思った
私の最初の対応から間違ってたね
裕翔君が良く言葉にする『くそ社長』を理解したよ!
何で私がこの子の下なのよ!!
まぁ裕翔君の下に居るだけで私の居心地は残業以外はとても良い
裕翔君の指示をこなすだけで一日終わるから、他に何をって言われても困るけど
「裕翔君、修正終わったので確認お願いします」
「はい」
と、ピタリと手を止め書類の確認をし始めた冬夜君がチラリと時計を見たのは私も見えました
「ん~~まっ良いでしょう。今日はこれで終わって貰っていいですよ!お疲れ様でした。明日の分は…ん~少し考えますね」
これでまだダメか!?きっと裕翔君が後で直してくれるでしょう
明日はキツイのかなぁ~
裕翔君には成れないけど、頑張らないとなぁ
「はぁ~お疲れ様でした」
「えっと黒崎さん、一年位を目標に頑張って下さいね。誰もが最初は初心者なので!では、お気をつけて帰って下さいお疲れ様でした」
「はい。お先に失礼しまぁ~す」
はぁぁ~
仕事を教えられ、フォローされ、彼の立場に庇われ守られ、時間を気にされて先に帰れと…
高校生に成ったばかりの男の子にだよ!?
これで凹まない新人社会人居るかな!?
しかも彼の様に成れるか?と聞かれたら絶対無理!
あー私は何がしたいんだろうなぁ~
何となく入れた会社に勤め、上司は帰り間際にやって来る高校生…
やりたいことも無く目標すら無いまま就いた職場で知り合ったのは、年下の高校生…しかも何もかもがハイスペックで、慣れるとか追い付くとか、そんな思いなんてとてもじゃないけどここ数日で心が折れた
—————あっ!?
私ってそんな思いをするほど何かを頑張った?
私って何かも適当じゃなかった?
今の会社の内定貰っただけでほっとしなかった?
我武者羅に何かをした事あった?
年下に気を遣われ帰って良いと…社員の私がバイトである彼に‥‥‥
甘え?安心?
何でも出来る彼に嫉妬?年下の彼に!?
「はぁ~早く帰って寝よ…今日のご飯は何かなぁ~」
実家暮らしの彼女には到底理解出来ない悩みだった‥‥‥
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