第8話 小雪
「
怪我はないが、破邪士と妖魔の本気の戦闘を間近で見た衝撃に、
なす術がなかった。
「何もできませんでした」
「気にすることはないわ。奴は、
「9血……?! もしかして、あれにもまだ上がいるんですか……?」
「あぁ、いる。だから、強くならないといけないよ、
「は、はい……」
「それと小雪、助かったわ。ありがとう」
「いえ……」
「紹介するわ。今日からここで一緒に修行することになった、
「あ、あの、俺、
「よろしく。敬語じゃなくていいから」
「フフ。敬語も何も、小雪の口数が少なすぎて、どっちでもいいんじゃない?」
「
確かに、小雪が
小雪の剣技の実力は相当なものなのだろう。
「あの、
「そうだねぇ、小雪はもともと破邪士の家系に育って、剣の修行は小さい頃からやってきた。才能と合わさって、もはや刀は身体の一部というところまでになっている。
破邪士の戦い方には、セオリーはないようだ。ベースになる心気の質•量に個人差が激しいからだろう。
「それはそうと、
「たった1割ですか?あの威力で?」
「あら、自分を過小評価しちゃいけないよ。君の心気はあんなもんじゃない。
「確かに……。ただあの時は咄嗟で……」
「そう、それをコントロールできるようにならなきゃね。その方法が、これ」
やがて腕全体が光りだし、右手に集中していく。
「それっ!」
右手に集まった光が上空に放射状に伸びて飛んでゆく。
5〜6階建てビル程度の高さまで達したろうか。
「今、私の心気は上に向かって扇を広げたように散開しているね。これを、束ねる」
みるみる広がっていた心気が一本の筒状にまとまり、長さも縮んでくる。
色も白から青みがかってきた。
最後には、突き上げた右手から1.5メートルほどの長さ、直径10センチメートルほどの太さにまで、心気がまとめられた。
「心気は広がっていると威力も分散してしまう。こうやってまとめ、束ねることで、大きな力になるし、形状も戦いに応じて、柔軟に変えられるようになる。ここまでできれば、妖魔との戦闘でかなり優位に立てるはずよ」
「ちなみに、これは基礎の領域ね。まずはここを目指そう。ね、小雪も」
「はい……」
小雪が顔を赤らめる。心気のコントロールは苦手なんだろうか。
その夜、長い長い一日が終わり、床に就いた記憶がないほど、
小雪も早い時間に寝入ったようだ。
神社の境内は静寂に包まれ、墨のような深い闇があたりを塗り込めていた。
しかしそんな境内の片隅に、
怒りと苦しみが合わさったような、苦悶の表情を浮かべ、境内の大樹に、拳を打ちつけている。
「
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