第3話
学校のチャイムが校内に鳴り響き、学校の時間の終わりを告げた。私は急いで修司くんの元へ行こうと教室に戻った瞬間だった。パリンパリンという音とともに、「きゃああ」という悲鳴が響いた。
何事かと思い、私は急いで中に入るとそこには一人の男と修司くんが殴り合いの喧嘩をしながら窓ガラスが割れまくっていた。私は急いで仲裁をしようと修司くんと男の間に割って入った。
「おわっ。由利香?!」
「……」
「修司くん大丈夫?!」
男は修司くんの心配をする私を睨みつけながら、次は私に向かって殴りかかろうとしてきた。私は避けることなど出来ずに目を瞑り覚悟を決めた瞬間だった。
修司くんが目の前に立ち、私の代わりに殴られていた。
「修司くん?!」
「いい加減にしろ。お前は……!」
「修司。そこの女は俺の幼馴染なんだ。お前ごときが付き合う存在じゃねんだよ」
修司くんにしか目がいっていなかったから気づかなかったが私を殴ろうとした男は、私の幼馴染であり暴走族に居ると噂されている、
「隆二くんやめてよ!」
「なら俺と付き合えよ。由利香」
私は首を横に振り断り、修司くんの腕に掴まりながら叫んだ。
「わ、私は修司くんの彼女だから!!」
「……そうかよ。後悔するぜ」
「後悔なんかしないもん!」
「……昔からお前は騙されやすいだろうが」
「……そんなことないもん」
私は情けないにも程があるが、修司くん、そして隆二くんの前で泣いてしまった。修司くんは私の涙を見た途端、私の頭を撫でた。
そして隆二くんの胸ぐらを掴みあげ、一発頬に拳を入れていた。
「……二度と泣かせんなよ。由利香を」
「お前こそ、本性バラしたら?」
「はぁ?」
「……ま、いいけど。せいぜい楽しみな。恋愛ごっこ」
昔はあんなにも嫌なキャラじゃなかった隆二の様変わりに私はショックを受けていた。そして修司くんを傷つけた隆二くんを許せることなんか出来なかった。
「大丈夫?」
「由利香。カフェ行こうや」
「う、うん」
教師たちが来る前に修司くんは私を強く引っ張りながら校外に出た。そして数十分のも間走り続け汗だくになった頃、カフェに着いた。
いい雰囲気のお店で、店員に案内された席に座った瞬間、私はハンカチを取り出し血が少し出ていた頬を拭い、絆創膏を貼り付けた。
「……ありがとな」
「うん。隆二くんはあんなんじゃなかったのに。昔」
「そうなんだ」
「うん」
「……ま、今は楽しもうぜ」
そう言うと修司くんは店員さんにビッグパフェとメロンソーダを頼んだ。私は釣られるようにオレンジジュースとパフェを頼む。
「ここ俺の奢りだから」
「え、割り勘しよ?!」
「いいから。今日は奢らせてくれ」
「で、でも……」
「由利香はいい子なんだな」
修司くんはそういうと私の頭を撫で始めた。その優しい手に私はふへへっと少し気持ち悪い笑みをこぼした。
修司くんはそんな私を見ながら「ずっと居ような」と言ってくれた。
私はなんてちょろい女なんだろうか。そう思いながらも修司くんの甘いセリフに「うん」と頷いてしまっていた。
店員さんから色々と品物が届いたあと、子どものようにビッグパフェを頬張る修司くんが可愛らしく見えていた。
私は気づけば修司くんの頭を撫でていた。
「な、なんだよ?!」
修司くんは少しだけ驚きながら、頬を赤らめていた。そんな姿に可愛いと思い、私はずっと、撫で続ける。そして修司くんに頼み事をした。
「危険なことしないで。私は修司くんとずっと居たいから」
「え?」
「修司くんが傷つくのが嫌だ。私も頑張るからできるだけ私の傍に居て」
「……おう」
この時から私は修司くんを守りたいと、修司くんを離したくないと修司くんを独占したいと感じ始めていた。
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