三雲SIDE1

私、三雲ひよりは、東雲寺財閥とううんじざいばつ所有の別荘で住み込みのメイドをしている。

高校生が住み込みメイドなんて珍しいと思う。


私の父は私が3歳の時に母の浮気が原因出ていってしまった。

それから母が私を女手一つで育ててくれた…訳ではなく、母は男を取っ替え引っ替え家に連れ込んでいた。

そんな娘に育てられる孫を心配した母方の祖父母が私を育ててくれた。

でも、小6の夏、祖父母は交通事故に巻き込まれて2人とも…

それからは地獄だった。母に殴られ、蹴られ、罵倒され…さらに学校ではイジメられた。

何度も自殺しようと思ったけど、死ぬのが怖くてズルズルと毎日を過ごした。


そんな地獄も終わりの時を迎えた。

中3の春、母が死んだ。痴情のもつれから男に刺し殺されたんだ。

この事件をきっかけにイジメもなくなった。警察や児童相談所とか色々出てきたからね。


そして、私はメイドをすることになった。

新聞で私のことを知った東雲寺財閥の偉い人が私に仕事を斡旋してくれたんだ。

最初は、東雲寺学園とううんじがくえんに来ないかって言われたけどそれは断った。

だって、大好きな祖父母と暮らしたこの街から出たくなかったんだもん。


それならってことで、メイドをすることになった。

祖父母の家を東雲寺家の別荘ってことにして、私がメイドとして働く。

もちろん、お給料は貰っている。これ以上ないお仕事。



でも、幸せな時間は長く続かなかった。

あいつが来たから。





中学も卒業し、春休みが始まった。

のんびりと読書を楽しんでいたとき、


ピンポーン


「ん?」


めったにならないインターホンが鳴った。


「はーい」

『あっ、初めまして。私、東雲寺財閥の本田と申します』


え?東雲寺財閥??

暴力団員の間違いじゃなくて????

ってぐらい目付きの悪い男性が立っていた。


「え…怖い怖い怖い怖い」

『あの?』

「ひっ!」


殺される!

怖くて思わず逃げてしまった。


        ー1時間後ー

「本っ当に申し訳ありませんでした!」


東雲寺財閥の偉い人からのメールで本当に彼が東雲寺財閥の人だってことを知った私は平謝りしていた。寒空のもと30分以上放置してたんだもん。当然だ。


「へくちっ!!……えっと、本当に大丈夫ですから、全然気にしないでください」


彼が優しくそう言ってくれる。

彼は本田悠斗君。別荘管理のために派遣されて来たとのこと。

私とは同い年なんだって。

これから同居していくんだし仲良くしていきたいな!


「もし気にしてるなら体で…」

「は?」


なんだこいつ初対面の相手にいきなり下ネタとかあり得ないだろ。


「あっ、あの冗談です」

「……」

「僕、巨乳好きなので貴方みたいなちっぱいに興味は…」

「死ね!!!!」


なんだこいつ!!私コイツのことキライだ!


「あっ、えっと…その大丈夫ですよ!この世界にはちっぱいに魅力感じてる人結構いるので…」


大っ嫌いだ!!!

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