散歩 サイドB:1
夜風が気持ちいい。
俺は翼をしならせ、気流を捉えて高度を上げた。
母さんはダメだというが、ダメの意味が分からない。
俺たちドラゴン族の本来の姿。
その力を使って人間どもの社会を破壊してやろうとか、恐怖で支配してやろうってわけじゃない。
時代は人間を選んだ。
俺たち神話の種族は殆どが駆逐され、生き残った僅かな者たちもある者は人間の姿に身をやつし、ある者は人間が手出しできないような高山深海に引き篭もって細々と命を繋いでいる。
その気になれば、空を舞い炎を吹いて、千の軍勢を退ける力がある俺たち。
そんな強大な力を抑えて、人間社会に溶け込まなければならないストレスの、ほんの少しのはけ口。
人間に見つからないように、ちょっとの時間ドラゴンになって夜空を思いっきり飛ぶ。
それすらダメなら、俺はどっかでブチ切れて大暴れしてしまう。
だからごめん、母さん。
ちょっとだけ。ちょっとだけドラゴンで飛ばせて。絶ッッッ対にこの姿で人間には関わらな……
えっ、なにあれ飛び降り⁉︎
マジかヤベえこうしちゃいられねえっ!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます