エピローグ

 中学の卒業式を終えて、場所は街中のチェーンの喫茶店の一角。

 星衣愛と丸井円が話をしていた。

「それで、翼君とはどうなったの?」

 はたから見れば、単なるガールズトークである。

「キスしました」

「ゲーム内で?」

「いや、そのリアルで」

「それ以上は?」

 円が興味津々に聞いてくる。

「プラトニックな関係ですよう。

 あと三年くらいは、このままで良いよねって話に落ち着いています」

「ふーん。

 純情なんだ」

 円はそう言って笑った。

「私も彼氏、作ろうかな」

 円は笑う。

 遠巻きに「いらっしゃいませ」の声が聞こえて、右腕から包帯ほうたいが見える少年、翼が姿を現した。

「それじゃあ、おじゃま虫の私は退場するかしら」

「ええ?

 全然邪魔じゃないですよう」

「ふふ。

 そういうことじゃないから」

 丸井は上着のコートを着て、伝票を持って翼とすれ違い、軽く会釈えしゃくをする。

「あれ?

 丸井さんじゃなかったか?

 なんか、笑っていたみたいだけど」

「ガールズトークです」

 愛の堂々とした物言いに、翼が気圧けおされて黙る。

「そ、そうか……。

 さて、何から話すか」

「それより、外でも歩きませんか?

 その方がきっと楽しいですよ」

「う……。

 まずはコーヒー一杯」

「まあ、それもそうですね。

 私もおかわりします」


 その後の自分たちが、どこへ行くのかはわからない。

 そして、どこへまででも、行けるのだ。


 了

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