第9話 運命の分かれ道!!

 私が挑戦を決めたのは、いわゆるクラウドファンディング。

 目標額は100万円。

 達成したら全額貰えるけど、1円でも足りなければ全額返金する、All or Nothingの挑戦だった。


 託児を続けていくには、料金を下げて、知名度は上げて、利用者を増やしていくしかない。でも、さらに赤字を出しながらそこまで続けていくのは、私個人ひとりでは無理だ。


 自分の力不足が不甲斐ない、という気持ちはあった。皆をガッカリさせて、今度こそ炎上するかも……


 ――いや。ごちゃごちゃ考えてても仕方がない。

 支援するか、しないかは、相手が決めることだ!


 2017年11月27日。

 意を決して、私はクラウドファンディングのお知らせをした。


 

『コミケ等の同人イベントに【託児所】を作って、ママ・パパの同人活動を応援したい!』



 その瞬間。

 

 ――通知が止まらなくなった。

 最初のアンケートより、託児の告知より、さらに速い勢いで拡散されていく。


「え……炎上した!??」


 ――と思ったけど、してなかった。

 リプも引用も、ほとんどポジティブな応援だった。

 そして、すごい勢いで支援が集まって――


 公開から約23時間で、目標金額100万円を達成した。


『「子どもが小さいうちくらい…」という周囲からの声に、泣く泣く趣味を我慢せざるを得ないパパママが減りますように。趣味の時間を満喫して、子育ての活力になりますように。活動、心から応援しております!』


『2人の子供がいます。子供を持つ前は頻繁に参加していた同人イベントもなかなか気軽に参加できなくなってしまい、寂しく思いつつも仕方のないこと、と諦めていました。そんな中、以前より託児の活動はツイッターで目にしており、素晴らしいなと思っていました。微力ながら応援させていただきます!』


『子供が大きくなって復帰した者です。昔からこういう制度があったら、離脱していった絵描き仲間も今でも描いてたかもなあ、と思うと今後続くママさんたちの支援になればと参加させていただきました。素晴らしい活動だと思います、頑張ってください!』


『ここ数年、好きなクリエイターさんがパパやママになられるということが増えてきました。同じような方たちの創作活動と子育ての両立を応援する意味も込めて、支援します!』


 大量の支援コメントを読みながら、私は涙が止まらなくなった。


 赤字を出しても託児をやりながら、保育スタッフや場所探しに奔走していたのを、見守ってくれていた人達がこんなにいたんだ。

 今回初めてこの活動を知って、支援してくれる人もたくさんいた。


 さらに、目標達成しても、支援は止まらなかった。

 それどころか、10万円もの支援をしてくれる方が5名も現れて、プロジェクトの勢いを盛り上げてくれた。



 最終的に――支援をしてくれた方は、335人。

 目標額を遥かに超えた、約350万円ものご支援をいただいたのだった。

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