第7話 初めての託児!

「まじか~……」

 告知から、約2ヶ月後。私は頭を抱えていた。


 11月に告知を開始した、初めての託児。

 その申込みが、4名しか来なかったのである。


 客観的に考えてみると、実績もない個人が初めての託児を主催、しかも当時は、年齢によって1~2万円以上になる高額設定。

 こんな高ハードルな条件で、申し込んで下さった方が勇者なのだ。ちょっとバズったくらいで、取らぬ狸の皮算用しちゃってた……。


 でも、信頼してもらうためにも、とにかく託児の実績を積み上げるしかない。それに何より、4名の勇者の期待に応えたい!


 そして、2017年1月29日。申込み4名+自分の子2名に、派遣会社の保育スタッフさん2名で、初めての託児を行った。


 当時の託児場所は、Aさんにお借りした大規模商業施設内の親子教室だった。

 ただしイベント開始時間が早いため、施設がオープンする時間よりも早く託児を始めないといけない。

 そのため、利用者の方には従業員通用口から入ってもらって、薄暗いバックヤードを延々と歩いてもらわなくてはならなかった。いくら勇者だからって、出だしからこんなダンジョンを歩かされて、さぞ不安だったと思う。


 そんな訳でドキドキしながら始まった初託児だったが、託児自体はトラブルなく進んだ。初回なので、私もその場にずっといて見守っていたが、子ども達はとっても楽しそうに遊んでくれた。

 

 お迎え時間になって、ママさん達も次々と戻ってきた。


「本当にありがとうございました。久々にイベントに行けて、すごく楽しかったです!」

「どうしても今回のイベントに出たかったので、天の助けと思って利用させていただきました。ありがとうございました!!」


 お預け時は不安そうだったママさん達も、帰りはとても嬉しそうな笑顔だった。

 「託児のおかげでイベントに行けた」、という言葉にじーんとした。やって本当によかった!


 その後、予定通り3月の春コミでも託児を行い、私も子ども2人を預けてイベントに出ることができた。

 私以外の利用者は3名。後日送ってもらったアンケートでは、「息子がとても楽しかったと満足していました」といった感想をいただいた。


 ママさんはもちろん、お子さんにも楽しんでもらえるのは本当に嬉しい。

 もちろんイベントもめちゃくちゃ楽しかった。



 ただ、問題は――大赤字なことだった。

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