第4話 そうだ、託児所を作ろう!

 私が考えた託児は、子どもを複数集めて、イベントの日だけ場所と保育スタッフを手配して、集団保育をしてもらうという形式だった。

 とりあえず、ニーズ調査だ。気軽な気持ちで、ツイッターのアンケートを作って投稿してみた。


『同人イベントの日時・場所に合わせて、会場の近くで8~16時くらいで子どもを預かってくれる託児があったら、いくら出しますか?』


 その直後――連続で通知が鳴った。

 なんと、このアンケートがバズったのだ。リプや引用もたくさん貰い、回答も5000票くらい貰った。

 やっぱりニーズがあるんだ!


 ――いや待てよ。こんなにニーズがあるのに今までないってことは、何か法律とかでダメなんじゃないの?

 そう思った私は、次に電話をかけてみた。相手は、東京都福祉保健局と、ビッグサイトのある江東区の保育課。イベントのための一時保育について、何か規制があるかを尋ねた。

 それから同人イベントの主催会社さんに電話して、イベントのための託児をやるとしたら、何か問題はないかと尋ねた。


 どこもダメじゃなかった。


 どうやら「イベント保育」は、東京都では特に決まりがないらしい。またイベント主催会社さんは、「会場外のことなら、特に関与しません」といった回答だった。


 えっ? できない理由、ないじゃん!!


 私は俄然張り切った。次に絶対出たかった、2017年春イベント(通称春コミ)を目指して、私は超スピードで企画を進めた。


 まずは保育スタッフ。

 1日だけの保育を委託できる会社は、意外とたくさんあった。片っ端から見積もりを取り、A社に委託することにした。

 

 そして告知。「託児、ガチで企画します!」と個人垢で発信していたら、「よかったらお手伝いしますよ~」と声がかかった。同人ママさんでもあり、デザイナーさんでもあるMさんが、ロゴマークやフライヤー等の作成を申し出てくれたのだ。


 すすす、すごい!!

 プロのデザインが入っただけで「ちゃんとしたサービス」に見える……!!

 

 デザインの力を心底実感しながら、告知のためのHPを作った。


 何よりも自分自身が使いたいから、「我が子を預けてもいいと思えるサービス」にしたい。ママが安心して、気兼ねなく預けられるようにしたい。

 そんな気持ちが伝わるよう願いながら、企画を進めていった。



 ――ところが。この段階で、大ピンチに陥るハメになる。

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