第3話 ママだってイベントに行きたい!

 2016年夏。私は無事に2人目を出産した。推しアニメの放映は終了したが、ジャンルは相変わらず盛り上がっていた。

 しかし。子どもが「2人」になったことで、イベントに行くのがこれまでよりずっと大変になったのである。


 上の子1人なら夫に預けられるが、赤ちゃんもとなると心配すぎるので、お姑さんにも頼まないといけない(自分の実家は遠い)。


 しかも同人イベントは10時開会で、準備のために遅くとも9時には会場入りする必要がある。ビッグサイトは遠いので、朝7時台とかにお姑さんの家まで子どもを連れていかないといけない。いや早くね!?

 さらに、預ける時間も長い。15時閉会だが片付けと搬出で並んだりもするので、帰路にかかる時間も入れると普通に10時間以上になる。


 お姑さんはいい人だけど、私1人が出かけるためだけに、大人2人を動員して、子ども2人を預ける段取りを組まないといけないというのが、とても気が重かった。


 ていうか、早朝から夕方まで1人で子ども2人の面倒を見るとか、普段自分では毎日やってるのに、どうして人に預けるにはこんなに気を使わないといけないんだろう。


 私はただ、数ヶ月にたったの1日、同人イベントに行きたいだけなのに……!!


 さしあたり、秋のイベントに出るための手配はなんとか終えたが、疲れ果てた私はツイッターで呟いた。


『イベントのために子どもを預けるのが大変すぎる……。イベント行きたいママのための託児サービスとかあったら、全然お金払うのに』


 すると、子持ちのフォロワーさん達から熱い共感リプやふぁぼをたくさん貰った。同じように困っている人が、こんなにたくさんいたんだと、私はびっくりした。


 そして――ふとこう思った。


(託児がないなら、作ればいいのでは?)


 同人活動の基本。それは、「ないなら作る」である。

 原作にはない話を、自分で作る。そして、この世にない本を、自分で作るのだ。

 

「そうだ、自分で託児所を作ろう!!」



 ――この思いつきから、約2ヶ月後。

 私は、本当に託児サービスをリリースすることになる。

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