第2話 まさかのイベントデビュー!

 二次創作をする者の憧れの場所――それは、東京ビッグサイト。

 ピクシブやツイッターを巡回するようになってから、同人イベントの様子を目にすることも増えてきた。


 私は当初、本を作ってイベントに出ようとは夢にも思っていなかった。でも、二次創作の楽しさを形に残したくて、「ちょっとだけ本にしてみようかな……」という思いが浮かんだ。


 偶然、夫の知り合いにJさんという女性同人作家がいた。私が本を出したいという話をすると、夫は彼女を紹介してくれた。


 2016年春、私はJさんに連絡をした。

 「初めての同人誌を出してみたいので、可能な範囲でアドバイスをいただけると嬉しいです。子持ち妊婦でイベント参加は難しいので、通販や委託を考えています」といった控えめな内容だった。


 ところが――彼女の返信は、思いがけないものだった。


「うわおーーすごい!! さつきさんの青春を心から応援します!!

 妊婦さんでイベントは確かに大変だと思います…

 でも自分で書いたもののためにお客さんが集まってくれたり声かけたりしてくれるって本当に素晴らしい体験なので、十分楽しむためにスペースとることをおすすめします!

 東京のイベントなら私売り子に入りますので、なんでも言ってください!! 本当に本当に同人活動しぬほど楽しいので、祝福します!!」


 そ……そんなに楽しいの……!?!???

 彼女の熱意に押されて、私はまんまとイベントに出ることを決めたのだった。


 Jさんは大喜びで、小説作家のNさんを紹介してくれた。Nさんは小中学生のお子様がいて、子育て中のイベント参加をやはり心から応援してくれた。そしてド初心者の私のために、原稿データの作り方から部数の決め方まで、本当に手取り足取り相談に乗ってくれた。

 

 そして、イベント当日。子どもは夫や実家に預かってもらい、Jさんが売り子に駆けつけてくれて、何もかもフォローしてくれた。

 色んな方に本を手に取ってもらって、フォロワーさんとお話しできて、差し入れやお手紙を貰ったりと、とてもとても楽しかった。

 そして、「絶対また出よう!」とわくわくしていた。


 JさんもNさんも、何の見返りもないのに本当に心から祝福してくれて、びっくりするほど全力で応援してくれた。


 おかげで私は、


 「子育て中のママでも、イベントに出て思いっきり楽しく過ごすことは、祝福してもらったり、応援してもらっていいことなんだ!」


 そう、心底思えるようになったのである。

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