第8話 ダグラス・マッカ-サ-

このスバル座から徒歩で15分ぐらいの所に戦後すぐGHQが設置された。そこに永井荷風と同じ年の一人の男が勤務していた。

 ダグラス・マッカ-サ-

 マッカ-サ-も聖書に深い敬意を払う人物だった。毎日数ページづつ聖書を読むことを日課としていた。

 1978年公開されたハリウッド映画に『マッカ-サ-』と言うのがある。主演は『白鯨』と同じグレゴリ―・ペック。

 年配の日本人で戦艦ミズ-リの艦上で日本が降伏文書に署名する映像を見たことのない人はいないと思う。映画『マッカ-サ-』によると、彼は調印式の最後に短い演説をしている。

 その演説の中で聖書中の一つの言葉に言及している。それは新約聖書の一番最後の部分、『ヨハネの黙示録』にある言葉。

 聖書中に一度だけ出てくる言葉。

 その言葉とはヨハネの黙示録16章16節にある言葉。


 “ハルマゲドン”


 軍人マッカ-サ-がこの言葉を口にするのは相応しいといえる。なぜならこの言葉は“神の戦争”を意味する言葉だから。

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