第37話 お披露目
「お、お待たせ……」
いつにもなくしおらしい嗣葉の声色が聞こえて俺はスマホの画面から視線を外して顔を上げた。
女子更衣室の出口から現れた嗣葉と高梨さんの水着姿に俺は言葉を失いそうになる。
嗣葉はスレンダーな白い肌に赤いビキニを着けていた。張りのある胸元が水着の生地を裏から押し上げているみたいにツンと上向きな双丘が豊かな谷間を作り、引き締まったウエストは皮下脂肪が殆ど無いのかおへその上に筋肉の縦線がうっすら見える。お尻は大きすぎず綺麗な丸い曲線を覆うように履いた水着の生地面積が少なくてちょっぴり危うい感じがたまらない。脚は細長くてまさに美脚、腰の位置を高く見せている。
顔を赤らめた嗣葉は俺と視線を交わすと直ぐに逸らしてソッポを向き、金色のポニーテールを揺らす。
「ミナ君、どうかな……?」
霧島さんが俺を真っすぐに見つめて頬をピンク色に染めた。久しぶりに見た眼鏡を掛けていない彼女の可愛らしさにハッとする。眼鏡を外した彼女はまさに美少女、嗣葉に負けないくらいキュートで黒髪のショートカットが可愛いく揺れる。霧島さんは紺色のビキニ、胸は嗣葉よりも一回りは大きくてビキニの生地が肌に若干めり込んでいて柔らかそうだ、身長は高く無いけどバランスのいい体型は綺麗で体は細い、お尻は胸同様ボリュームがあってむっちり感がある、そのお尻をパレオが隠しているのが男の観たい欲求をくすぐって来る。
ヤバっ! 二人とも想像以上に綺麗でびっくりした……。
「凄く可愛いよ、二人とも」
って、言っちまった。俺の口から女の子に可愛いなんて言ったことあったっけ?
俺は何だか気恥ずかしくて二人の顔から上しか見れなくなってしまった。
隣で博也が胸の前で両手を握り締め、声を震わせている。
「スッゲー美少女っ! これはヤバ過ぎるぞ、グラビアアイドルかと思ったって! 二人とも可愛すぎるし無茶苦茶スタイル良くないか?」
博也! お前、正直すぎるって、その感想!
博也は眼鏡を押し上げて覗き込むように二人を眺めた。
「ちょっと、あんまりエロい目で見ないでよね? ハズいんだから!」
胸を隠すように嗣葉は腕組みをして博也に警告する。
「そうだよ二ノ宮君! そんな目で見られたら私どうしていいか分かんなくなっちゃうよ……」
霧島さんが体を捻って博也から胸を見えないようにしたが、くびれたウエストからキュッと上がったお尻の美しい曲線を俺たちに見せつけているようで逆にドキッとしてしまった。
「さてさて、どこから攻めようか?」
嗣葉はスレンダーな体を背伸びさせて額に手をかざした。
「あそこ、色々借りられるんじゃないかな?」
霧島さんが細い腕を伸ばし、プールの横のカラフルな遊具を指差す。
「行ってみようよ、悠っ!」
嗣葉が走り出し、霧島さんも釣られて後を追うように薄茶色なゴム製の入り江を駆け出した。
先に行ってしまった嗣葉が振り返って俺を手招きする。
「おい! 今の見たか?」
横に居た博也が声を上ずらせた。
「何がだよ?」
「見てねーのかよ⁉ 二人の胸、スッゲー揺れてたんだぞ!」
「お前はそこばっかり見てんのかよ!」
「そこを見なくてどこを見るってんだ悠人っ! 美乳と巨乳だぞ!」
美乳と巨乳……。博也の言葉が俺の頭の中で繰り返す、さっき見た二人の水着姿の胸元を思い出してしまって俺は顔が赤くなるのを隠せない。
「お前、案外ウブなんだな? 顔赤くなってるぞ!」
含み笑いで博也が言った。
「博也、お前こそあんまりジロジロ体見てると嫌われるぞ!」
「バカだなお前、見てないふりして見るんだって! 見ないと勿体ねーだろ? 後はどうやって写真を撮るかだな?」
首から掛けた防水ケースに入ったスマホを俺にかざし、ニヤニヤしながら博也が歩き出したので俺たちはビキニ美少女の後を追った。
遊具の貸し出しをしているわらぶき屋根の東屋に着くと周りにはカラフルなボートや浮き輪が所狭しと並べられていた。
「私、水鉄砲やりたーい!」
嗣葉が子供のように飛び跳ねて腕の長さほどのグリーンとイエローの樹脂で出来た水鉄砲を手に取った。
貸し出しは無料、手首に巻いた蛍光オレンジの入場タグをスタッフに見せればここの中では飯以外は基本的に追加料金は掛からない。
俺たち四人は次々と大きな水鉄砲を手に入れプールに向かう。
嗣葉と霧島さんが待ちきれない子供のように小走りで水面に向かう。
「あっ、そんなに冷たく無いよ?」
霧島さんがパシャパシャと水面を蹴って水温を確かめた。
「そんじゃ、行きますか?」
プールに水鉄砲を沈めてタンクに水を補給した博也がショットガンのようなポンプを引いて加圧する。
銃口を嗣葉に向け、ニヤリと笑った博也に彼女は叫んだ。
「ちょ…、まだだからね!」
水鉄砲に給水中の嗣葉が博也を制止するように手を前にかざす。
「とりゃあーっ!」
博也が雄叫びを上げて嗣葉に水鉄砲を発射した。
「キャーっ! 冷たっ!」
発射した水は嗣葉の胸に当たり、水着の色が濃くなった。
「えーい!」
霧島さんが博也に撃ち返し、博也がすかさず反撃する。
博也の水鉄砲は霧島さんの胸の谷間に水を浴びせ、水滴が弾けた。
おいおい、博也、お前さっきから胸ばっかり撃ってないか?
「隙きありっ!」
嗣葉の元気な声が聞こえ、俺が声の方向に顔を向けると顔面に水が掛かった。
嗣葉は前屈みになってケタケタ笑っている。重力に負けた嗣葉の胸が赤い水着から零れ落ちそうに豊かな谷間を作り、フルフルと揺れていて俺は思わず見惚れて反撃の機会を逸した。
博也はまたもや嗣葉の胸やお尻目掛けて水を浴びせてニヤニヤしている。
あのヤロ! 俺は博也の眼鏡に向けて水鉄砲のトリガーを引く。
「うわっ!」
顔面に水を食らい、もんどり打った博也に女子二人もすかさず反撃の水を浴びせて、ずぶ濡れになった博也は霧島さんを追っかけ回す。
「いや〜っ! 来ないでっ! ミナ君、助けてぇ!」
霧島さんが俺の背中に隠れ、両手で肩を掴んだ。
濡れた手から彼女の体温が伝わり、俺は体をビクリと反応させてしまった。素肌を女の子に触られてドキドキしてしまった俺は、それを隠すように博也に反撃する。
「悠人っ! 邪魔するなーっ!」
雄たけびを上げ、ジャンプする博也は水鉄砲を俺に向ける。
「落ち着け博也っ!」
二人は空中に飛び出して水鉄砲をクロスさせた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます