第3話 再会

カーラジオから流れるジャズが終わる頃、ハイウエイも残り4マイルになり、ABCストアのオーナーが貸してくれた93年式レンジローバーを加速させた。今日は午後からストアへアルバイトへ行かなければならなかった。


その夜、挙式を控えたタケシとメグミの部屋にいた。アラモアナ・サーフライダーズのバルコニーから夜空を見上げると日本で見たオリオン座がくっきりと輝いていた。ヒカルはZIPPOを取り出しおもむろに煙草に火をともした。こうやって3人で語らうのも何年ぶりかと・・・。あれは確か広島のグラシャスで飲んだっきりで、それ以来の再開になるんだとタケシがつぶやいた。

あの時サーフショップ主催のパーティで広島のサーファーが30人ぐらい集まっていた。海では顔見知りでもまともに会話などしたことがなかった一人でもあった。そんなタケシと波長が合い、海について語り合った。


「ヒカル、いつから波乗りはじめたんだ?」


「ハタチからだよ」


「なぜまた波乗りなんかやろうと?」


「大阪にいる会社の連れがサーファーだったからだよ。カッコよかったので見様見真似で始めたんだ」


「タケシこそどうして?」


「おれは初めナンパ目的だった、しかしやってる内にのめり込み波乗りの奥深さに虜になったんだ」


そんなたわいもない会話が続いた。


「ヒカル、夜光虫は見たことあるか?」


「白波のところが光るあれか?」


「あれって綺麗だよな」


ヒカルはタケシが同じ感性の持ち主だと惹かれていった。

いつの間にか時間も経ちタケシが付き合ってる彼女メグミを紹介してくれた。

彼女も海では見たことがあったが話したことはなかった。

想像以上に波乗り好きの魅力ある彼女だった。


でもこうしてワイキキで再開し、しかも挙式に参列できるなんて人間のつながりってないようであるものなんだなと3人で笑った。


翌日JONDOMINICE教会にて無事挙式が終わり、リムジンでホテルに帰って行った。その後ヒカルは車を走らせクリフスへ向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る