第2話 友との出会い

サカモトとの出会いは宮崎にサーフトリップした際、恋ケ浦でボードがクラッシュしたことがきっかけで友達になり、その後も宮崎の内海や潮騒閣へ一緒にトリップしていた仲であった。そんなサカモトは日系人で、現在ハワイに住んでいるが宮崎のビッグウェイブフォトを見て一度行って見たかったそうだ。そんな偶然の出会いがヒカルの人生を揺さ振りはじめた。


サカモトから聞いた12月のワイメアのビッグウェイブは想像を絶する程、強烈だった。いままで遭遇した事のない生き物に出くわしたような、それでいて何かにとりつかれたように引き込まれていく感じだった。とりわけ12月25日に到達する神聖で聖霊された50フィートの波をメイクする事は、ハワイアンにとって勲章とされてきた。しかし幾人もの英雄をのみこみチャレンジする者もいなくなった。サカモトの父も同様に数年前の12月25日に50フィートの大波にのみこまれた一人だった。


その夜、二人は青島前のビーチで缶ビールを傾けていた。話はもっぱら波乗りの話題で盛上がり、時間が過ぎていった。突然、サカモトが立ち上がり険しい顔でヒカルにこう言った。


「おれ、おやじの三回忌にワイメアでチャレンジするよ」


その言葉の裏には死を覚悟し、父が体感した以上のものを手に入れ、父を超えようとしているサカモトの決意が充分伝わってきた。ここまでこのサーフィンに命をかけたストーリーが存在するとは思ってもみなかったし、ただ単に自分の為の娯楽にしか考えていなかった自分が恥ずかしかった。


「おれも一緒にチャレンジさせてくれ」


ヒカルにとっては後先のことなど考える余裕もなくこの言葉を返してしまった。

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