第36話 もう、なるようになれ!っての

 馬車の中。

 満面の笑みを浮かべるお姉様リディアお継母様フェリア。そして仏頂面のアイラに苦笑いのお兄様ポール


 つまりは、に乗って帰路についてる訳で。


 察してくれ。


 クヮアー『結局、全敗なんだよね』

 ピィー『経験の差だよねー』

 ガォオオーン『それな』


 やっぱり味方してくんない。

 あたしゃ、もう諦めたよ。へっ。


 ピィー『あ~あ、やさぐれちゃったよ』

 クヮアー『アイラ、幼女設定ドコいったの?』


 いや、設定って何よ。

 私は正真正銘5歳児だっちゅーの!


 ガォオオーン『アイラ、そろそろ次の宿場町だけど?』


 馬車は、別に駆け足の猛スピードって訳じゃないから、サイモン公爵領都トランビスまで幾日か掛かる。途中、宿場町に滞在して、そこそこ散財する義務…とまでは言えないにしても、消費活動する必要が公爵家にはあるんだよね。


 なので、そんな宿場町で隙有らば!って思ってたんだけど。


 基本、私の定位置はお継母様のお膝な訳で。

 馬車から降りた途端に、お姉様にしっかりと掴まれてしまっていて。


「まだ強行突破は考えてないわ。もう少し待って」


 大地魔狼コロは姿を消しつつ、馬車に寄り添って走って…、うん、コロにとっては歩きに近い速度スピードなんだよねー。

 霊鳥鳳凰カナは悠々、飛んで追いかけてて、

瑞獣霊亀キィちゃんは相変わらず私のポシェットの中。


 隙有らば!

 ピィー『ホントに、そう思ってる?アイラ』


 お姉様と、そしてお継母様と一緒のお買い物ショッピング。やっぱり楽しいんだ。

 流石は公爵家!買い物に上限なくってさ。

 入るお店は、とっても上品で。しかも値札なんか付いてなくって。

 お姉様は「この棚のモノ、ぜ~んぶ見せて」って言って、サラッと見た後、

「全部貰うわ、ね、お母様。今度のお茶会にコレで行くわ。そうね。コレと色違いで、あの娘に合うサイズのモノ、有る?」

 私を指して、とびっきりの笑顔で聞いてきた。


「お継母様?お茶会って」

「お茶会のデビュタントとして。確かに早いかもしれませんがね」


 それって、学校へ行く様になってからじゃなかった?つまり、お姉様の歳の頃だよね。


「あまりにも早過ぎませんか?それともお継母様には、私が11歳に見えるとか?」

「それどころか、大人に感じる事もあるのですけどね。それはさておき、貴女は少し有名になり過ぎてしまっていてね」


 お継母様曰く。


 1.スキルが『聖獣使い』。

 2.豊穣の担い手。

 3.次期王妃。


「等と言われていてね」

「その3つ目は、私聞いた事ありませんけど?」

「最近の事ですからね」


 何せ、家格と年齢の、両方マッチングするのは本当に私しかいないらしい。


 世嗣促進って訳じゃないんだろうけど、此処数年何故か、高位貴族に男子しか生まれなかったんだとか。その意味では、お姉様リディアも貴重な高位貴族令嬢妃候補だったんだって。5歳も年上だけど。

 そこへ降って湧いた1つ年下の貴族令嬢

 庶子とは言え認知養育された公爵家令嬢であり、世にも稀なるスキルまで持ち合わせてる、他家が対抗する気さえ起こせそうもない存在。


 困ったモンだ。


「やぁ、此処で買い物してたんだね」


 噂をすれば何とやら?


 って、何でココにロラン王子がいるの?

 店を出て表中央通り歩く私達の前に、いきなり現れた王子様。

 おい?護衛ドコだよ。


「そうですが、殿下はお一人で?どうしてまた」


 お継母様?棒読みに聴こえるのは気のせい?


「所用があってトランビスへ行く途中だったんだけど、皆と逸れちゃってね。久々の遠出ではしゃいじゃったかなぁ」

「それはいけませんわ。殿下の護衛は公爵家が相勤めましょう。どうぞ、公爵家ウチの馬車へ」


 お継母様?


 ピィー『コレ、既成事実作ってる?』

 クヮアー『まぁた、出し抜かれたねぇ、アイラ』

 ガォオオーン『オイラ、知らね』


 帰路につく馬車が3になってるの、何故?


 …お継母様ぁ…。

 ええい!もう、なるようになれ‼︎

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みんなで転生〜チートな従魔と普通の私でほのぼの異世界生活〜 ノデミチ @ndmt

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