第35話 賢者の対決!アイラvsフェリア‼︎

「見つかりません、お母様」

「流石は4聖神獣の加護ね。探知魔法マジックソナーにも引っ掛からないなんて。でも、あの子の行動思考から…、そこよ!」


 王城の中庭。

 ある一点を指差すお継母様フェリア


「って、言えば『見つかったぁ』って出て来る気がしたのだけれど」


 去って行くお継母様とお姉様リディア


 あぶねー。

 危うく観念して出て行くトコだったよ。

 何せ、指差す場所にアイラ居たんだから。この5分は長かった。うん、頑張ったよ、私。


 クヮアー『やっぱ経験の差はデカいね』


 ポシェットの中、小亀サイズになったキィちゃんが笑う。


「笑い事じゃないんだけど」

 クヮアー『あれを出し抜くのは骨だと思うよ』

 ピィー『アイラ!フェリア達は王城の中へ入っていったわ』

 ガォオオーン『合流するよ』

 上空から私の目となってるカナが舞い降りて、土中からボコボコっと仔犬サイズになってるコロが出て来る。


 勿論、皆、姿消したまま。


 王都に着いて、早1週間。

 私達は、ヒガンザタンサラスへ帰ろうとしてる。でも近衛騎士や、それこそお継母様達に阻止されつつある訳で。


「味方が居ないのが最大の誤算だわ」


 お兄様ポールもお姉様も、私をヒガンザタンサラスに帰す気は無いみたい。


「アイラの帰る場所はウチサイモン公爵領よ」


 私が元の洞窟宅へ帰るって言ったら、お姉様が、それはもう怒って叫んだんだー。

 で、裏を掻こうにもほぼほぼお継母様に動きを読まれてしまってて。


「やっぱ、最大の難関はお継母様だわ」


 クヮアー『似た者同士、いい根性してると思うよ、アイラ』


 今日くらい私の味方をしてもバチ当たんないと思うんだけど?


 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


探知魔法マジックソナーには引っ掛からないだろうけど、うん、やっぱり魔力捜索マナサーチならね。アイラ、貴女の従魔お友達魔力マナは大き過ぎよ。って、これは?さっきの場所?当たってはいたのね」

「お母様?」

「母上?」


 子供達ポールとリディアフェリアを見つめる。


「リディア、魔法は直感インスピレーションが確かに大事だけど、そこにロジックを織り交ぜる事が必要なのよ。貴女は少し直情過ぎるキライがあるわ」


 私の魔法的資質を1番受け継いでいるリディアは、どうしても性格があの人父親似なのよね。寧ろ、ニコライの剣技資質を受け継いでいる息子ポールの方が論理的思考。


 でも、魔法は勿論剣技の才も、そう、何も受け継いでいない義娘アイラが1番、私の情理併せ持つ思考行動力を持っていると思えるのよ。しかも、1番大人びてると言える。


 ホントに5歳?


「中庭?まだ、王城を出ていないのですね」

「姿を消したままでは城門は通れないの。『疚しき悪意を持つ』と看做されかねないから。それに王城を包む結界魔法は移動魔法テレポートを遮るわ」


 安堵している子供達。


「そうね。普通ならば手は無いのだけど。あら?魔力が掻き消えた?どうして?」


 先程まであった、強く大量の魔力反応が掻き消す様に失われていく。


「本当に用心深い娘だわ、アイラ。4聖神獣の能力を駆使されると、こうもやり難いなんてね」

「そう言う母上は、何か楽し気に見えますが」

「此処迄裏をかかれるなんて初めてなの。でも…」


 仮にも母親なんだから。

 見てなさい、アイラ。


 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 で、アイラはまだ、王城にいる。

 やっとの思いで抜け出せた城門。


「ここまで来れば…」

「ごめんなさい。大丈夫じゃないのよ、アイラ」


 私は、お継母様の待ち伏せを喰らってしまった。


「どうして?」

「なんとなく、ね」


 抜け出せるポイントはここだけじゃない。

 可能性は数箇所、ある筈なのに。


「私自身がね。出るなら此処かなって思ったのよ」


 ピィー『どうしてもおんなじ思考になるのよねー、アイラとフェリアは』

 クヮアー『親子だもん。しょうがない』

 ガォオオーン『それな』


 ね。もう少し、私の味方してよー!

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