第21話 謝られても…、どうするべ?

 ウザいのは間違いない。

 私と接触したいのはわかるけど…。


 方法が気に入らない!


 秘密裏に、ってのが多いのはまぁ分からんでもない。酷いのになると拉致しようと企む輩もいるし。

 私がギルドの人に拉致られるのは、キィちゃんの判断なんだよ。


 クヮアー『大丈夫でしょ。そもそも悪意も邪な企みも感じないモン』


 気配や感情察知。

 キィちゃん達3頭の目を誤魔化せる者等人間じゃ無理。エルフとかの妖精族がどうかなって感じ?魔族は流石にキィちゃんやカナではわからないんだって。コロが何とか察知出来ない事もないらしい。


 尤も、魔族にとって4聖神獣は天敵。

 獅子に喰われる野鼠に喩えられる程相手が悪い。だから魔族は近寄る事すら考えないだろうって。


 それにしても、なんつー例えだよ。


 ガォオオーン『どうすんの?アイラ。ココ、出てく?オイラは何処に行っても、こんな洞窟造れっぞ』


 そうは言っても、此処に愛着あるんだよなぁ。


 土地、って言うより、人達だよね。

 肉屋のおばちゃんや道具屋のおじちゃん。ギルド受付のオネーさんや、門番のオーガ…もといおじちゃん。ギルマスに役場のおじ…オニーサン。


 みーんな、皆んないい人ばっかり。


 買物だけじゃなく、この街を歩く事すら楽しい。まだ、数ヶ月しかいないけど、まだ行ってない店だってあるのに。


 ドボン。

 パタパタ。


 家の中にキィちゃんとカナも入って来る。


「まだココにいる。もう少し様子見。いいかな?」


 ガォオオーン『オイラ達!』

 ピィー『アイラの!』

 クヮアー『三銃士!』


 『『『いつも、一緒だ(よ)』』ぜ』


 ありがと、皆んな。


 とは言え、現状を少しは変えなきゃ。

 翌日。

 私は、ギルドを訪ねる事にした。



 ギルドマスター・スレインさんは私の訪問を、忙しそうだったけど受け入れてくれた。


「お忙しいところ、すみません」

「いや、珍しいね、アイラちゃんが訪ねてくるなんて。何か困り事かな、と思ってね」


 私は、冒険者の尾行、探索の事を話す。

 先日のウォーターベアの件も含めて。


「多分、そういう依頼を受けてだと思うんですけど。コッチとしては『ほっといてください』って言いたくて」

「成る程。ギルドとしては、そういう依頼は受け付けていないから、多分ウチを通さない直接依頼だと思う。御領主とも相談して、他家貴族にも働きかける。そこ迄効果はないかもしれないけど、出来るだけの事はするよ」


 うん、予想通り。

 あんま、アテにならないだろうけど、取り敢えずギルドマスターの言質は取った。コッチの目的は達した訳だから、今日は帰ろうと思う。


 ついでだから、そのウォーターベアの素材を換金する。ランクCの魔物だから、そこそこ良い値で売れた。

 そのまま街でお買い物。


 やっぱり尾行されてる。

 ゴロツキ?どうも真っ当な冒険者じゃ無さそう。これは貴族の私兵?

 山賊盗賊の類では無さそうだね。

 街中じゃ確かにコロは呼べない。

 でもカナとキィちゃんはいるから。

 私は鉄壁の守りと炎の攻撃力を持ってるんだよ?


 て言うか、この筋を進むと貴族街?

 只の尾行じゃなくて、私がコッチの方向へ向かう様に仕向けた?


 なら、路地裏へ走る。

「キィちゃん、よろしく」


 キィちゃんの加護発動。

 私の姿はかき消す様に見辛くなっていく。


「な、何?あのガキ、何処へ行きやがった?」


「カナ、やっちゃえ」


「うわっ、アチチチ」

 背中やお尻に小さな炎。ゴロツキ達が慌てふためき出した。


 貴族街も近かったからか、見廻の冒険者達がやって来る。


「大丈夫か?こんな何処で何やってんだ?」

「い、いや…」


 まさか、幼女を尾行中とは言えないだろ。

 内心笑いを堪えつつ、私はその場を離れた。



 次の換金の時、ギルドマスターに面会を求められて、私は現況変化無しの状況を伝えた。


「本当に申し訳ない」

 いや、別に謝罪は求めて無いの。


「謝罪を求めてはいません。約束履行です。私以上に4聖神獣が苛ついています」


 コロを抑えるのに、ちょいと難儀してる。


「それは…」

「よろしくお願いします」


 あまりいい脅しじゃないと思う。

 でも4聖神獣が街中で暴れたら、此処位の規模の街なら壊滅してしまう。


 どうするべ?

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