第20話 面倒だから、帰ってもらう!

 普通じゃない事はわかってる。

 私だって自覚あるよ。


 でも、神の御使とか言われると真っ向否定する。


 取り敢えず、ギルドマスター・スレインさんには、何も求めていない事を伝えた。それでも、スレインさんはギルドからの依頼という形で『グレートボア退治』『オーク集落撲滅』の依頼料の支払と依頼達成によるランクアップ手続をしてくれた。


 金貨12枚は素直に嬉しい。

 冒険者ランクCは上げすぎ。私、さっきまでランクFだったんだよ?ステータス的には確かにランクCで問題ないけど…。


 内心色々と言いたい事あるけど、もうとっとと帰りたかったから、スレインさんに異を唱えず言われるままに手続きしてもらった。


 そのまま買い物。

 コッチが本来の目的。必要な食材を買い求めた後、街を出て葛折を曲がったら、私はコロを呼び出し帰る。


 尾行がついてるのはわかる。

 今の私は、かなりコロ達と感覚共有出来てる。知覚探知範囲が聖獣並なんだよ。キィちゃんの防御加護も発動してるから、私達を捉えるのはかなり難しくなってるし。


 うん、尾行撒けたね。


 家に帰り着いて、部屋~台所で早速お料理。

 お?沼地の畔に冒険者だ。


 残念だけど、この家の入り口はどんな凄腕の盗賊でも探知出来ないと思う。しかも沼そのものにキィちゃんは居る。近くの森の木々にカナも居るし。コロは前世ペットの大きさとなって家の中に、私の側に居る。


 必死に辺りを探してるみたい。

 うん、諦めたかな?口惜しげに帰っていく。と見せかけて潜む?

 残念。バレバレ。カナからは丸見え。


 大人以上の知力魔力のお陰で、私は3頭同時に知覚共有出来てる。頭の中、マルチ画面の様な画像が展開し、キィちゃんとカナの視覚が脳裡に映し出されてる。慣れるまでは酔いそうだったんだよ?結構気持ち悪い。


 それはそうと、この森には普通に魔物いるよ?そんな呑気に隠れて様子見のつもりだろうけど、ホラ、貴方達はウォーターベアから丸見え。

 もう!気付くの、遅過ぎ‼︎

「カナ、お願い出来る」

『アイラ、お人好しだよ』


 そう言いながらも、カナは助けに飛び立つ。


 ピィー『下がりなさーい!』


 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


「見失った。何故だ。あんな子供が何の魔法なんだ?くっ、絶対この辺りに居る筈なんだ」

「俺はアッチを探す。お前はこの辺を。オイ!お前等は向こうから沼の畔へ戻る形で探せ‼︎」


 別班が尾行していたが、簡単に撒かれてしまったらしい。あの子が乗る狼のスピードたるや、馬でも追いつけないとか。仲間のエルフの『風魔法』込みの走りでも全く太刀打ち出来なかったとか。


 とは言え、この沼地の畔に住んでるのは間違いないのだから、ここに潜んで張ってたら大丈夫だろう。そう思っていたのに。


 姿が見えたと思いきや、直ぐにかき消す様にわからなくなった。家は勿論、山肌に洞窟すらも見当たらない。一体何処に、あんな子供が暮らせる場所があると言うんだ?

 此処で張ってたら、また出てくるか?

 おう、アイツらそう思って?


 バカ!後ろに、あれはウォーターベア?

 やばい、アイツら気付いていない?


「おぉい!後ろ‼︎」

 ダメだ!遅い‼︎


 ピィー!


 飛んで来たのは?あれは鳳凰フェニックス

 凄い!鳳凰が使う炎の槍がウォーターベアを貫いていく。


 ズズーン。

 呆気なく倒された。ウォーターベアってランクCの魔物なのに。


 流石は4聖神獣、鳳凰。

 ランクC如き、相手にならない実力だ。


 ピィー!


 な、何だ?まさか?

 こ、此処を去れ!そう言っているのか?


 どうする?4聖神獣ってランクS Sだよな。

 そんなもん、太刀打ち出来るかー!


「オイ!ひ、引き揚げるぞ」


 俺達は、這々の体で引き揚げた。


 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


「ここに住む事、ちょっと煩わしくなってきたね。どうしようか?」

 ガォオオーン『オイラ達は何処でもいいんだぜ。アイラと一緒に居れさえすれば』


 ふむ。

 ちょい、悩むなぁ。

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