第13話 再会、泣いちゃった

「どういう事だ。ええい、揃いも揃って役立たず共が!」


 父上ニコライ=サイモン公爵の怒声が響く。どうやら、アイラに向けて放った刺客が返り討ちにあったらしい。


 何かに護られている?

 アイラはまだ5歳だ。噂では才能スキル無しだったので父上に捨てられたとか。表向きは判定前の病死だが。


 それとも、実は稀有な才能スキルを持っていたと言うのか?


 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


「また?うーん。どうしても私を殺したいのかな」

 クヮアー『かもしんない。ホント、諦めて欲しいよ』

 ピィー『何度来てもアタイ達が倒すから』

 ガォオオーン『安心してろ。オイラ達に任せとけ』


 頼もしいなぁ。

 でも、これで3人目かぁ。流石にウンザリしてきたぞ。


「ギルドに相談した方がいいかな」

 クヮアー『まだ街には何のとばっちりもいってない。必要ないと思うよ』

 ピィー『賛成。アタイもキィちゃんの言う通りだと思う』

 ガォオオーン『アイラ、街がオイラ達の味方になるって保証、まだわかんないんだぜ?』


 街へ行く道すがら。私はガイルフェンコロの背に揺られてる。肩にフェニックスカナ、ポシェットにスピリッツタートルキィちゃん


 住処の洞窟も、人の目に触れない様になってる。だからなのか、沼の畔から出てきて森に入った途端、私達は冒険者風の男に襲われたのだ。


 尤も、私にはキィちゃんの加護がある。

 だから物理及び魔法ダメージ無効なんだって。


 オイオイ。


 癒しの加護を与える存在のカナは、火の魔力を司る存在でもあるから、向かってくる刺客を燃やしてしまう。大地の恵みの加護を持つコロは地の魔力を司り、しかも直接打撃力もメチャクチャ強い。


 私自身は何の力も持たない。

 でも「三銃士♪」って嘯いてるキィちゃん達がいるから、私は無敵って言える直接・遠距離攻撃力と完全なる防御力を持ってる事になってる。


 突っ立ってるだけ、だけど…。


 後味悪いのは、どうしてもトドメ刺さないといけないから。キィちゃん達の秘密を守るってのもあるし、そもそも彼等は何が何でも私を殺そうとしてる。すきあらば、って感じだからお引き取りって事には出来ない。

 それにコロやカナの力は殺傷力あり過ぎて。


 ついでに言えば、逃げ帰った彼等を公爵お父様が許す筈がなく多分処分される。


 甚だ不本意だけど、彼等を生かして帰す理由を見出せないの。


 とりあえず実行犯だけ倒してる。監視の目までは手を出させてない。コロ達はかなり不満気。


 複雑なんだよー。

 ぶっちゃけ、親娘ゲンカで犠牲になる刺客さんの身にもなってみろ、って話だし。


 ピィー『考え過ぎでしょ』

 クヮアー『ホント、気にし過ぎ』


 気にするわ!


 多少気が重いまま街に繰り出すのは訳がある。


 実は今日から4日間、大きな市が開かれるんだよねー。


 欲しいモノがあるんだ。

 どうしても地方地方の特産があるから。ココ、ヒガンザタンサラスとサイモン公爵領のある王国西部とは果物も違うし、何より公爵領には海が、港がある。海産物があるの!


 でもシャトナー伯爵領の南部は海に面していない。魚は川魚しかいない。これはこれで美味しいけど、やっぱ海の幸が食べたい‼︎


 その辺も今回の市なら手に入るって聞いたんだ。


 で、ワクワクしながら街へ行く。

 もうすぐ葛折。コロから降りて、ココから徒歩。


 ガォオオーン『じゃあな。カナ、キィ。後は任せた』

 ピィー『オッケ!』

 クヮアー『あぁ。任された』


 コロはいなくなり、私の肩にカナが停まる。キィちゃんは元々ポシェットの中だし。


「アイラ!」


 街の入り口前。

 私を待ってる旅人風の子供達。


「え?あ、お兄様!お姉様‼︎」


 やば。目の前滲んできた。

 2人が駆け寄ってくる!


 むぎゅー!


 私達は泣き笑いで抱き合っていたの。


「本当に生きていてくれたんだね、アイラ」

「とても心配したんだから。でもよかった、無事で」


「坊っちゃま。お嬢様方、こちらへ」


 馬車から手招きする声。

 公爵家執事のセバスチャンさん。

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