第12話 子供らしく無いんだよね

 お兄様ポールからの手紙。


 家に帰って封を切ると、私の生存の噂が、サイモン家にまで届いてしまった事。サイモン公爵お父様が私を亡き者にする為に再び動き出した事が書かれていました。


「でも、みんなといたら大丈夫なんだよね」

 ピィー『勿論』

 クヮアー『僕の加護を突破するのは人間は勿論魔族だって不可能だよ』

 ガォオオーン『オイラ達の目をゴマかす事もね』


 つまり私を殺す事処か、刺客が悪意をもって近付く事すらムーリーって訳だ。

 ピィー『その上で、アイラは街中にいてね』

「え、どうして?」

 クヮアー『人前では仕掛けないよ、殺し屋』

「なるほど。だよねー」

 言われて納得。

「ね。多分、事情を知ってるであろうギルマスとかに言わなくていいかな」

 ピィー『相手次第。街中、人前で仕掛けて来ないならばギルドが知らなくてもいいし』

 クヮアー『街中で人目も気にせずって事ならばだけど、その時でいいんじゃない?第一僕等の事も話さざるを得なくなるよ』

「それもそうか。だよねー。4聖神獣が一緒って言えないし。それにキィちゃん達も世界を守護してるんだよね。ココにいていいの?」


 すると3頭は顔を見合わせて。


 ピィー『1つ誤解があるよ。世界を守護してるのは聖神獣王と呼ばれる4頭だよ』

 クヮアー『4聖神獣とは種の呼称。僕等は唯一無二の存在じゃないよ。僕等の中で一番力の強い聖神獣が王となって世界を守護してるんだ』

 ガォオオーン『オイラ達は若手だ。王となるにはまだまだ目いっぱい修行積まなきゃなんない』


「だからココにいていい?」

 3頭は頷くと。

 ガォオオーン『オイラ達♪』

 ピィー『アイラの♪』

 クヮアー『三銃士♪』

 歌う様に言うんだ。そういや、みんなと一緒にテレビ見てたなぁ。


「ま、いいや。それよりお兄様への返事」


 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


 影は迅速に対応してくれたようだ。


 手紙を預かってきました。そう言って出されたのは、間違いなくアイラの字で書かれた手紙。


 あの子は幼児らしからぬ綺麗な字を書く。

 もしかしたら、ポール達3兄妹の中で一番賢いのかも、そう思う時すらある子だったんだ。


「お兄様」

「ああ、間違いなくアイラだ。生きて、本当に生きていてくれたんだ」


親愛なるDearお兄様、お姉様へ。


 私は、何とか元気に過ごしております。親切な街の方々に囲まれ、日々楽しく生きているので、どうかご安心下さい。

 その上でお願いです。

 私自身がサイモンの名を捨てています。

 お父様への咎めは勿論ですが、お兄様達が会いに来られるのもご遠慮ご配慮戴ければと思います。


 よろしくお願いします。

 では、ご自愛の上、ご健勝に。


 遠き地にて、お2人をお慕いしています。


                アイラより』


 とても幼児の筆とは思えないね。

 ならばこそ、これがアイラ自身の書いた文だと確認出来る。


 生存を…確信出来る…。

 よかった…、アイラ。


「お兄様」

「サイモンの名を捨てた、か。もう、ここに帰る気は無いって事か。それでも!それでも私達の妹なんだよ、アイラ」

「帰る気は…って…。アイラ、そんなのイヤ」


 本当ならば直ぐにでも飛んでいきたい。

 だが、拙速は文字通り拙い。時を待つしかない。


 そうこうしている内に聞こえてきた不思議な話。


 父上が放った刺客が、悉く失敗したとの事。

 アイラが返り討ちにしている?


 そんな馬鹿な。

 でも、もしそれが本当ならば、あの子の才能スキル無しという鑑定がオカシイ事になる。


 君は一体?


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る