第2話 どうやって暮らす?

 こんなチートな3頭連れて街に住むなんてムーリー!なのでどっか生活拠点を探さなきゃ。


 ピィー『アッチに沼地があるよ』

 クヮアー『そいつはいい。行こ行こ』

 ガォオオーン『オイラも同意する』


 行ってみると、何?このニオイ。


 ボコッ、ポコって。何か出てくる?


 クヮアー『何もいないよ。でもゴミ多いから。ホラ、あそこから流れてくるんだ』


 キィちゃんが指し示す方向。

 山肌から飛び出ている何か。

 ゴミを埋め立てていたの?


 ピィー『見てみたけど、埋め立てたとこが雨か何かで崩れたんだ』


 なるほど。

 ここの住民がモラルが無い訳じゃないんだ。

 不幸な事故か。


 でも、掃除出来るの?コレ。


 ガォオオーン『山肌は元に戻せるぜ、オイラ』

 ピィー『ゴミは灰も残さず焼却するよ』

 クヮアー『水も浄化出来るよ』


 流石は4聖神獣。不可能はない?


 ガォオオーン『家建てるのは無理。アッチの山肌に洞窟を造る。部屋も多少は出来る』


「それもそうね。あ、キィちゃん。カナも。ゴミの中から使えそうな物を洗えるかな?」

 クヮアー『浄化出来るよ』

「よし。それで再利用しよ」


 とは言え、幼女の身体では中々作業が捗らない。

 結局、皆んなに色々やってもらう事になった。


 て言うか、狼と鳥と亀なのに、何であんな器用に作業出来るの?


 まだ使えそうな食器や服をキィちゃんと一緒に洗っていく。その間にコロが洞窟を掘り、拡げて部屋にする。壁にちょっとした棚も掘っていって、洗った食器等を並べていく。


 私の背が前世の半分以下になってしまったので、コロが踏み台も作ってくれた。助かりぃ。


 それと…、は?コレって水路?水道?

 沼からどうやって引いてるの?

 洞窟部屋の1つに水場が出来てた。


 クヮアー『ココで浄化してるから、そのまま飲めるようになってるよ。沼自体もキレイにはしてるけど。カナが「癒し」と「再生」の力を奮ったから生き物達も還って来てる』


 慌てて外に出てビックリ。

 沼を含め、周りの景色が一変してる。


 ゴミが溢れ、やや黒ずんでいた水面はキレイな青緑色に変わってた。沼地の周りにの木々や草花も青々として、遠くには小鳥の囀りさえ聞こえてくる。


 こうして出来た生活拠点。

 あ、水場から更に水を引いてお風呂も作ったから。カナがいれば直ぐにお湯沸くし。


 で、3頭とも前世のペット時の大きさになれるみたい。コロはシベリアンハスキーだった頃の大きさになって、カナも小鳥サイズ。キィちゃんも30センチ程の亀になった。

 それでも4聖神獣の力は使えるから。火起こしとか面倒は無い。

 食器やナイフとかの器具も1人分あればいいから再利用分で何とかなる。


 街に行けないから。そう思った時、私は悲惨なサバイバル生活を想像してしまった。


 確かに、そこまでは悲惨な状況じゃない。

 が、便利な機械文明の申し子たる現代短大生の私にとって、野宿に近い生活はやっぱキツいよ。


 せめて塩とか欲しい。


 そりゃあコンビニ惣菜メインだったけど、母がいた時には手伝いとかしていたし、出て行ってからは炊事は私の役割だったから一通りお料理は出来る。贔屓目とは思うけど、父も「美味い」って平らげてくれてたし、私自身、そんなに不味いモノは作ってないと思ってる。


「街に行って買い物する必要があるわ。でもお金が無い。ココはファンタジー世界だよね?魔物とか動物を狩って素材や肉とか売る、みたいな形で稼ぐしかないか」

 ガォオオーン『狩りは任せて。近くの森の動物くらい直ぐ捕ってこれるよ、オイラ』

「うん。後はどうやって街で売買するか、だよね」


 身分証も何も無い幼女。


 ま、いいか。行ってみて出たとこ勝負!


「で、街は近い…よね?」


 テンプレ異世界物なら、優しい冒険者とかお人好し貴族に保護されるんだけどな…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る