みんなで転生〜チートな従魔と普通の私でほのぼの異世界生活〜

ノデミチ

第1話 転生したけど、私がチートじゃない!

 私の名は西門愛衣楽。


 この漢字で、読みはサイモン・アイラ。

 勿論日本人。だが純正じゃない。クォーターだ。


 帰化した祖父ジョー=サイモンが当て字と言うか「西門丈」を名乗ったから。


 まぁ、そんな事はどうでもいい。

 今の私は、只のアイラ。


 何故なら、今居るのは日本じゃない。

 地球ですらない。


 ココは異世界。

 何て世界だったか?舌噛みそうな長ったらしい名だったから忘れちゃった。とにかく、この世界では姓があるのはお貴族様だけって言われたので、メンドくさい事になりそうなので、名だけ名乗る事にした。

 サイモンって苗字は色々揶揄われたし。

 クォーターだから、ほぼ黒髪黒目。

 ちょい翡翠色が瞳には入ってはいるけど。


 でも、この世界の私は銀髪。

 そしてライトグリーンの瞳。


 平凡な容貌の前世に比べて超絶美少女に生まれ変わってる。但し幼女。


 もうすぐ20歳だったのに。

 どう見ても5~6才だよ。


 しかも、本当に只の幼女。何のチートな能力も無いし。異世界転生物って、主人公は大概チートでしょう?試してみたけど、魔法も使えないし力も全然。身体だって鉄壁じゃないし。


 つまり、私はこの異世界で生き残る術を何一つ持ってない。


 あ、言い換える。

 私自身は、に。


 と言うのも、私の前に3頭の魔物がいる。

 しかも神話伝説級のヤツ。


 大地魔狼ガイルフェン

 霊鳥鳳凰フェニックス

 瑞獣霊亀スピリッツタートル


 この世界を守護する4聖神獣。

 その内の3頭が目の前にいる。


「まさかと思うけれど、もしかしてコロ、カナ、キィちゃん?」


 ガォオオーン『そうだよ、オイラだ』

 ピィー『あったりー』

 クヮアー『正解です』


 つまりは、前世で飼ってたペットだ。


 シベリアンハスキーのコロ。

 カナリアのカナ。

 キバラガメのキィちゃん。


 私自身が飼ってたのはキィちゃんだけ。

 コロとカナは本来なら父のペットだった。


 いつの間にか、3匹とも私が世話係になってしまったけど。


「一緒に転生しちゃったの?」


 頷く3頭。

 いないのは風神龍ゼファーらしい。

 って事は、此処に大地、水、炎の守護神聖獣がいるって事?私のペットの転生として?


 神様、マジで?



 私は火事で焼け死んだ。

 自宅が燃えたので、ペット達諸共。


 しかも火を付けたのは父。彼も勿論焼け死んでる。

 優しい生き物好きの父は、母に裏切られ、出て行かれてから人が変わってしまった。無気力自堕落になり仕事すら辞めて、酒に溺れる様になった。

 それまで有名大企業の役付だった父は高給取りだったから、仕事を辞めたからと言って直ぐに困窮する訳ではなかった。筈だが、母は出て行く時にカードで根こそぎ預金を下ろして持ち逃げしてた。


 色んな請求が滞納状態と通知が来て、それで預金持ち逃げに気付いた時には、もうどうしようもなくなっていた。


 父は自宅に放火し無理心中を図った。


 結果、私は巻き添えとなりこの世を去った。

 それをこの異世界の神が不憫に思ったらしい。


「私の世界でやり直させてあげるよ」


 転生出来たのは嬉しい。

 でもやり直しだからって幼女はないし、チートな仲間をつければいいってもんじゃない。


 それにいくらなんでもチート過ぎ!


 さて、どうしたものか…。

 

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