不覚にも、つい最近になって押見修造を知った(2700文字)

 ここのエッセイで、押見修造について一切触れてなかったというのは、かなり不思議に思われたかもしれない。

 いや、本当に読んでなかったんです。

 勉強不足で知らなかっただけでした。


『血の轍』というマンガがあるというのは知ってたけど、何となくそのタイトルがボブ・ディランの引用だから、やや敬遠してたところもあった。

 ニール・ヤングだったら直ぐ読んでたのにw


 でも、読まなきゃなとは、直感的には感じてました。


 今年の8月にようやく手に取った。

 一気に引き込まれました。

 のっけから、園子温の映画感がした。


 読み進めるうち、えっ!? どこの出版社のマンガ!? と再度確認。

 小学館。

 え!? かなり、月刊漫画ガロの作家の影響あるのに!? えっ!? えっ!?


 作風というより、ちょい演出と作画面なんだけど(私小説風なところもかな)、つげ義春っぽい。古屋兎丸の『エミちゃん』の作画タッチになってるとことろありの、丸尾末広を思わせるところもあり、斜線の描き方が鈴木翁ニっぽいような? 鈴木翁ニは気のせいかも。


 かなり詩情を漂わせ、文芸に寄せつつも、でもエンタメ。

 男性の作家で詩情を豊かに描く作家って、少ないと思う。


 ナニこの作家は!? その時点では、まだ16巻までしか出ておらず、最終巻の17巻は予約して買った。


『惡の華』は、紙で全巻一気買いして読んだ。

『進撃の巨人』と同じ雑誌で連載してた少年マンガということに驚愕!

(確かに少年マンガだけど)


 このエッセイでも映画監督の井口昇に触れておきながらも、『惡の華』の実写映画版の監督は井口昇で……その原作が『血の轍』と同じ作家だとは不覚にも気が付かなかった!

(好きじゃないからスルーしてたとかじゃありません!)


『惡の華』1巻の表紙はamazonのおすすめに出てたので見覚えもあったけど、『血の轍』と絵柄が別人のように違うやん。

 押切蓮介のマンガだと思い込んでたw


 マンガ原作より、先に映画版を観た。

 あ! と思いました。

 フランス映画の『小さな悪の華』のラストシーンのオマージュまで。

 私も大好きな映画です。


 以前から、私もそういうの描きたい! と悶々としてました。

 でも、そんなもの描いても、絶対需要ないだろうなと思ってた。

 1970年の映画で、当時、日本とアメリカ以外上映禁止になった。

 それ以降、VHSにもなることもなく(ひょっとしたらケーブルでは観れたのかも?)

 2008年のある日、TSUTAYAでDVDを見つけてびっくり。

 そのことを当時のブログに書いた記憶がある。


 需要ないだろうなと思いつつ、小説では2度、触発されて書いた。

 ひとつは、カクヨムにも上げてる拙作『花嫁の着衣』(タイトルと内容は少し、シュルレアリストのマックス・エルンストのオマージュ入れてます)

 女の子が悪を行うという、デカダンなお話です。まぁ、殆ど私のエゴの塊のような内容なので、やはり需要はありませんでした。


 もうひとつ『小さな悪の華』に触発されたものは、Pixivに置いてます。

 そっちは5000文字のエロ小説です。なので、閲覧数1000ほどはいってますが(エロなら少ないね)



『惡の華』実写版の舞台挨拶みたいな動画、YouTubeに上がってたのを観たら、映画評論家の町山智浩も、映画化したら園子温の『愛のむきだし』みたいな凄い映画になりそうみたいなことを言ってて、押見修造作品に園子温を感じたのは私だけじゃなかったんだと思いました。


 押見修造も色々むきだし。

 まぁ、園子温は映画監督以前は、詩人でジーパンを履いた朔太郎と呼ばれてました。

 ユイスマンス好きだとも発言してる。


『惡の華』の主人公の春日くんと割と好みが似通ってる。春日くんの部屋の本棚、なかなかだよね。

 何故か1冊、ノイズミュージック、そっち系のミュージシャンの書いた本もあったw


 押見修造のデビュー作も読みました。

 短編『真夜中のパラノイアスター』

 映画の『真夜中カーボーイ』と丸尾末広の単行本『パラノイアスター』をくっ付けたのかと思った。


 太田出版だった。

 2002年だから、もうエロティクス・エフも出てて、でもそっちじゃなく、私ですら知らない雑誌だった……(90年代末からそのくらいの時代にかけ、生活が慌ただしかったので知らない雑誌も多い)


 デビュー作だけあって、かなり尖った内容でした。

 そこから、よく講談社、小学館へとシフトしたなとつくづく感慨深い。


 てか、根っこは文芸寄りだし、エッジの効いたガロとかそっち系の資質の作家でも、ヒット作家になれるんだなということを示した功績は大きいと思いました。


 

 最後に、狂気を感じる、或いは読んだら頭がおかしくなるマンガ・ベスト5を挙げてみたい。

『血の轍』は入るだろう。


 勿論、異論あるかと思いますが、取り敢えず。

・ねこぢる、或いは山野一やまのはじめ作品。

(最初にねこぢるから読んで、大丈夫だったら山野一のものを。成年マンガに載ってたのもあるので、未成年は注意)


・山田花子。全部は読んでないけど、『魂のアソコ』かな。映画化もされてる。


・華倫変の作品。私、カリクラしか持ってないんだけど。


・知るかバカうどん(ペンネームです)

 私はもうね、メンタルをエグられるから、正直読むの辛いレベル……。

 またエロマンガに戻ったのかな?


・ライチ☆光クラブじゃなくて、西岡兄妹の『神の子供』にしておく。

 西岡兄妹作品にしては、ガロじゃなくてホラーMに連載してた作品なので、比較的入り易いかと。

 古屋兎丸だと『エミちゃん』かな(単行本『Garden』に収録)


 出来るだけ……ガロ以外に描いたもの……をチョイスしてみました。ガロのも入っちゃってるけど。

 私、山田花子を知ったのはヤンマガからでした。


 早見純も入れようかと悩む。本当に狂ったレジェンドだけど、極北かな。殆どプレミア付いてるしなぁ……良いかもしれないけど。 


 エロマンガって、ロリコンに駆逐された三流劇画があって、その辺から狂気の系譜ってあるのかもなぁ。

 今じゃすっかり俳優として知られる田口トモロヲも描いていた(田口智朗『ノーパンパニック』)


 早見純と同じく、久保書店繋がりの駕籠真太郎さんに触発されて描き始めたという、かくいう私もそうだったりして……。


 駕籠真太郎さん主催の同人誌、『うんこ100選』という本があります。

 ヤバい作家ばかり100人集めて、うんこをテーマに、1人1ページで何か描くという企画。

 本当にヤバい面々で、その第三弾がなかなか出ない。


 第三弾で私にもお声が掛かって、そんな中に私も入って良いの!? と緊張しつつ描いたことを思い出します。

 駕籠真太郎さんは出すとは仰ってたけど、もう原稿入稿したのが2017年でした。ちゃんと締め切り守ったのにな。

 

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