エヴァンゲリオンというメンヘラと少し付き合ってみる その3(完結)
最後にひとつ、あんまり言われてない元ネタについて書いておきます。
あんまり言われてないということは、あくまで私の妄想で、イマイチ当てにならないということですが。
綾波レイがユイの複製で沢山居るような描写は、手塚治虫の『火の鳥 未来篇』というのは割と言われてるんじゃないかと思われます。
ムーピーという人間にとって、非常に都合の良い、遠い宇宙から運び込まれた生命体がおり、その乙女タマミを愛してしまった、主人公のマサト。
マサトは老化はするが死ねなくなり、未来永劫生きて行く中で、死んでしまったタマミを何度も造り出そうとする。
それが出来損ないばかり沢山出来てしまうのだった。
人工羊水で満たされた筒から出た途端、肉体が崩壊してしまうなども元ネタ的なイメージかと。
私は、それを小学2年の頃に読んで、非常にショックでした。
そして手塚治虫が描くのだから、フェチ度も高い。
(そういえば『火の鳥 異形篇』は時の円環に閉じ込められたループネタだった)
私が綾波レイというキャラクターを見てて、どうも思い出すのが、萩尾望都の『A-A'』なのだった。
『A-A'』は未来史という形式の短編集(長さ的には中篇で3本)という体裁をとっており、シリーズを通して宇宙開発に高いパフォーマンスを発揮する一角獣なる種族が遺伝子操作で生み出され、毎回ヒロインだったりする。
(正確には、ごく稀に隔世遺伝で一角獣種が生まれることもあるだったと思う)
一角獣種たちは、感情が希薄で、認知の捉え方が我々と少し違ってたり、一度走り出したら転ぶまで止まれない、つい食事することも忘れて仕事に没頭するなどといった特徴がある。
仕事面は優秀だが、不器用で危なっかしい。
萩尾望都のそのマンガ、何を元ネタにして一角獣種を描いたのかは、今なら判る。
自閉症の子どもについて書かれた本を読んだのだと思う。
一角獣種の特徴が割と自閉症と一致するのだった。
当時、まだ発達障害はない。
TV版エヴァが始まった頃、もしかしたら……あったのかも知れないけれど、殆ど知られてなかったといった具合でそれより10年ほど前のマンガだ。
(酒鬼薔薇聖斗の事件を追ったジャーナリストの本を読んだところ、少年Aは97年の事件前、発達障害と診断されていたらしい。それより前だと流石に発達障害はない……と思われる)
そんなわけで庵野秀明は、宝島社の『精神病を知る本』に掲載されていた、精神病者の書いた詩をTV版の綾波レイのモノローグとして参考にしていた。
「空、青い空……」というあれです。
結局、昔のマンガはすごいということでしょうか。思い出補正もあるとは言え。
過去の諸々の偉大な作品の焼き直しでしかないというジレンマが特に綾波レイとして象徴的に表現されているように思う。
……って、こういうのって、延々と書けそう。
それより、昔出回っていたトンチンカンなエヴァの解説本をネタにした方が面白いかもしれない。
一周回って、太陽系戦隊ガルダンくらいの価値が出てしまうとか?
スタジオヴォイスなんかが、エヴァの特集したのも覚えてるよ! w
その号に文章を書いた人たち、壮絶な黒歴史になってるだろう。
高原英理も著書『ゴシックハート』の中で、エヴァとデビルマンに触れ、なかなかトンチンカンなことを書いてらして、それもまた迷著である。捨てずに持ってるぞよψ(`∇´)ψ
『ゴシックハート』には、他にも色々言いたいというか突っ込みたいところあれど、高原英理さんは応援しています。
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