エヴァンゲリオンというメンヘラと少し付き合ってみる その2

 エヴァでお馴染みの使徒を殲滅した時などの十字架状の光の柱も、その諸星大二郎のマンガに描かれてます。


(有名だと思います。ただその『生命の木』は言葉狩りで、現在のものは台詞がかなり変えられてるかと)


 70年代半ば頃のマンガなので、庵野秀明くらいの世代なら、割と心に深く刻まれたかと。

 今じゃ考えられないけどジャンプのマンガです。



 それと、諸星大二郎なら短編『生物都市』もイメージソースになってるかと。

 内容が、皆んなでひとつの生命体になるという、使徒のような完全生命体、あるいは人類補完計画を思わせる内容の名作もあります。


(人類補完の〈補完〉は、コードウェイナー・スミスの名作SF小説の翻訳で、伊藤典夫がかなり悩んで考えた)


 他、諸星大二郎の『僕とフリオと校庭で』に収録されている『影の街』(新装版はどれに収録されてるのかわかりません)もエヴァっぽいシルエットの巨人とか。

 それでいて、人の心の内側を描いた内容です。



 それを言うと、フィリップ・K・ディックの『銀河の壺直し』もメタフィクションだし、エヴァっぽい気がする(お勧めはしないけど、読むなら新訳版で。私が読んだのはサンリオ文庫版 w)


 短編の『この卑しい地上に』(もやはSFですらない)からも影響を受けたのかもしれない。

 ディックの旧訳版『ヴァリス』を翻訳した大瀧啓裕なんかまでエヴァの解説本を書いたのはびっくりした。

 読みましたよ『エヴァンゲリオンの夢 使徒進化論の幻影』

 まぁ、庵野秀明は旧訳版の『ヴァリス』も参考にしてるだろう。同じく大瀧啓裕翻訳のマルコム・ゴドウィン『天使の世界』も併せて。



 シンに登場したゴルゴタ・オブジェクトの元ネタは直ぐ判った。

 星野之宣の『サーベルタイガー』に収録されてる短編に描かれた絶対座標かと。

(カタカナのタイトルがややこしく、いちいち覚えない。ひょっとしたら新装版が出てて収録されてる本のタイトル変わってるかも? 私のは87年刊の双葉社版)


 ネタバレ書くのもなんだし、良かったら読んでみてください。

 元ネタというより、割とまんまなのでパロディなのかもしれない。



 シンの公開が始まった辺りで、エヴァの海が赤い点などから寺山修司の『田園に死す』が元ネタじゃないかという解説を幾つか見かけたが、私としては、そもそも庵野秀明は寺山修司には興味ないんじゃ? と思えて仕方なかったが『田園に死す』くらいは観ているか。


『田園に死す』を観ていれば、確かにああ、と思うメタ表現があります。

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