異端めがすこしは売れたいと考える その3 邂逅とへんな賞を受賞してしまう

 毎年、春、おりしもこのくらいの季節になると、駕籠真太郎さん主催のうんこ映画祭が行われている(今年は夏)


 うんこと言うと不快なイメージを抱く方が大半だろうと思う。またそんなものをエロ目線で見るような性癖の人のためのイベントでもない。それもありだと思うけど。


 うんこというものをテーマにし、如何に表現の幅を広げるかという趣旨なので、悪趣味カルチャーとも違っている。


 そんなイベントがあったことに、気付いた時は2015年の第5回だった。


 エントリーすると、入場無料になるというので、何げに出品してみたところ、結構ウケてた。


 まぁ、観客は皆、駕籠真太郎さんの読者でもあるだろうから、私としてもやり易かったというのもある。


 ごめんなさいと謝りたくなるくらい褒められ、東京編の審査員特別賞を頂いた。

 

 思えば、駕籠真太郎さんのマンガに触発され、マンガを描き出したので、不思議な縁だ。


 駕籠真太郎さんは、月刊漫画ガロの文脈にあるマンガ誌アックスにも描かれているので、もうそっち系の作家だろう。


 また、うんこ映画祭とは別で、100人の作家を集め、1人1ページで、うんこをテーマに何か描くという同人誌もされていて、私にもお声が掛かった。


 うんこ映画祭で賞頂いてしまったので断れないやん。

 レモンピープルからマンガの注文くるより緊張した! w


 いや、その同人誌に参加してる作家陣を見て恐ろしくなってしまって……。


 フツーに人気のマンガ家から、ガロ作家、エロティクスfに描いてた方、マニア層に人気のマンガ家、鬼畜系のレジェンド、ノイズバンドやってる人々、半分以上は知ってる名前だった。


 私なんかより、変人過ぎたり、変人レベルがカンスト級の人まで!


 ――えっ、私、この中に加わって良いの!?

 と、びびりまくった。


 私がうんこ作家と呼ばれるようになったら、駕籠真太郎さんのせいなんだからね!



 やっぱり、私の描いたものでも、いちお刺さる人は居るのだなというのは分かった。本当にごく少数だが。


 でも、そんなんじゃ食えない。

 いや、もうマンガで食っていこうとは思ってないけど、副収入、小遣い程度は欲しいじゃないか。


 あと、折角描いたものだから、出来るだけ多くの人にも見て貰いたい。


 お小遣いも欲しくて、沢山の人に見てもらいたいんなら、やはりエロマンガが手っ取り早いだろう。

 エロとはいえ、マンガだ。マンガを描いてる限り、スキルは錆びない。


 エロマンガを真面目に研究されてる方はちょいちょい存在し、そのような方々の知識にはとても及ばないが、私も私なりにエロマンガを研究してきた。

 過去の反省の意味でも。


 内容の8割ほどはエロシーンで埋め尽くしたもの。私はエロマンガをそう定義した。


 試しにそういう内容でネームを切ってみた。


 感触としては出来なくもない。

 いや、出来るとは言わない方が良いだろう。

 6・5割ほどなら、エロシーンで埋め尽くせた。

 割とエロマンガのテンプレで書いた。

 

 言い方変えると、6・5割も割り切ったものを描けるということになる。

 自分が描きたいと思うことは3・5割だけでも良いと。


 そこまでならエゴを削ぎ落とせる──。


 私は今更ながら、明かりが点くよう気が付いた。


 エロマンガでそこまで割り切れるのなら、エロでないものでも割り切ってしまえば良いのではないか――。



 レモンピープルに描いてたマンガだって、少しは読者ニーズ考えてたよ w


 こんなこと言ってしまうと嫌われてしまうだろうから、今まで黙ってたことがある……。


 私は、そもそもアニメっぽい画風の女の子キャラなんて、好きじゃねーもん。そこまでオタじゃねーわ!

(そのくらい拒絶してしまう時期もあったけど、現在はその辺、だいぶ丸くなりましたし、例外もあります)


 元々は、月刊漫画ガロに持ち込みたかったくらいだ。


 ストーリーだって、エンタメに寄せてるわ。

 描いたとしても、シンプルなアンチクライマックスストーリー程度というところで抑えてたよ。


 こんなところ誰も読んでなさげだし、この際ぶっちゃけるけど、岡田史子のマンガがしゅきーー!!

(極端だろ。嘘じゃないけど)


 金子國義の描く女の子、めっちゃしゅきーー!!


 おもくそデカダン臭漂うマンガ描きたい!!


 女の子が、これでもかと悪の限りを尽くすような。

 そう、悪だ! 悪悪悪悪悪悪!!



 ……本音ぶっちゃけて、ちょっとスッキリした。


 でも、そんなマンガ、誰が読むん? て話だ。

 ガチなデカダン系は需要はないというのも知っている。

 やはり、自分の好きなことを描くのは抑えなければならないだろう。


「これの何が面白いん?」

 月刊漫画ガロをパラっとめくった、親族が言った。


 それが、ホモ・サピエンスがガロを見た時のな反応だろう。

 フツーは興味を示さなくて当たり前だ。

 

 映画化されることもあるけれど、殆どはマニアックな低予算のミニシアター系だ。


 ここでエッセイ書いて、気が付いた。

 自己言及というのは、とっ散らかった思考を排水し、寝付きを良くしたりだけでなく、メタ認知にもなる。


 カクヨムをはじめとした投稿サイト使ってみて気が付いた。


『感情から書く脚本術』というハリウッド式の本を読んでも気が付いてなかったのに。


 読者は作者のエゴなんて求めてない。そんなことは分かっていた。ただ、頭では分かってるだけで、それがどうも行動に移せなかった。


 私はエゴが強過ぎるタイプなので、特にネットだとスルーされてしまう。



 最近、pixivに小説を投下してみて驚いてる。

 エロマンガのネタのストックが気が付けば、結構貯まっていた。


 そのプロットを小説のテイに直して、投下してみた。

 僅か5000文字程度のものだ。


 それが、私がカクヨムに書いた20万文字の長編のPVをたったの数日で追い越してしまう w


 エロパワー、恐るべし! 

 pixivは登録者数がカクヨムより2桁くらいは多いんだっけ? それもあるだろう。


 兎に角、今後、マンガでも小説でも書く場合、エゴの割合とその辺、よく考えて書きます。


 今まで、私の小説読んで頂いた方々、心から感謝します。

 本当にエゴの塊でやらかしてしまったようなものを……恥ずかしい。

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