第4話バイクのレーサー

 私が夜学を選んだのには理由が二つある。一つ目は千葉県内の高校では三無い運動と言うのがあり、


乗らない 取らせない 乗せない


バイクのバの字も寄せ付けない運動が盛んだった。

 バイクのレーサーを目指していた私にっとって大問題だった。もう一つは中学を登校拒否していたので内申が無かったからだ。そんな時、筑波サーキットで50ccのレースに出たのだった。子供も生まれ順風満帆だった。そのレースがきっかけでホンダのスクールに出てみないかと誘いがあった。しかし、子供までいてそれ以上我が儘は言えないので泣く泣く断るのであった。

 高校3年も終わりに近づくと修学旅行の生き先選びが待っていた。海外旅行が良いと言ったが、公立高校は飛行機がダメで沖縄も却下された。

 他のクラスから三重・鳥羽・京都の案が通り鈴鹿サーキットへ行く事が決まった。

 私は集合時間もそっちのけで鈴鹿サーキットの周りを歩けるだけ歩いた。担任が実家に電話をするほど心配したぐらいだったのだが、クラスメイトは

「あいつを連れてきたのが間違えだ。」

と言う始末だった。私は必ずここを走るんだ。と心に誓いながら下見をした。

 鳥羽ではミキモト真珠のお土産屋で女房に少ない小遣いから捻出しペンダントトップを買ってあげた。残りの小遣いは飲み代に消えたのだった。そして、帰りの新幹線で初めてウヰスキーのロックを口にした。そこから記憶が無くなった。

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