第2話  挨拶

それから、私は悩んだ。しかし、答えは出なっかった。

そんな時彼女が家に来た。

「送って行くよ。」

私は片道分の切符代を握りしめ家を出た。電車の中も無言の二人。とうとう彼女のアパートの玄関にたどり着いた。

「挨拶して帰る。」

「私から話すから。今日は帰って。」

くしくもそこから歩いて帰る事となった。車で1時間程かかる距離。走馬灯のように色々考えながら歩いた。

 家に帰ると最近の変化に感ずいた親父が言ってきた。

「何があったんだ?」

 生理が来ない事。検査した事を話した。

「俺が行って来る。」

 親父は何も言わずにそう言った。

数日後、親父は彼女の家へ行った。手土産も持たずただ話に行ったのだった。

「おろす病院を決めてきた。」

親父から伝えられた。

おろす日の前日、親父は彼女と私の妹を連れて犬吠埼灯台へドライブに連れて行ってくれた。

「本当に良いのか?全ては俺が被る。生みたいか生みたくないか?決めれば良い。」

犬吠埼の広場でそう言った。

 次の日、病院はキャンセルされた。

 親父は

「行くぞ。」

と言って私を彼女の家へ連れて行った。

彼女の親はやくざだった。

「一人で挨拶に来たんだってな。入って来れば良かったのに。」

親父がお膳立てをしていたおかげで話はスムーズに進んだ。

「ご両親が納得してくれたら家に来なさい。」

親父はそう彼女に告げた。

数日後何もなかったかのように彼女は家に訪れた。しかしご両親の了解は得ていなかったのだった。

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