第6話「町の歴史、5人の魔剣使い」
「・・・さて、これからユイさんにはこの町について
色々と説明したいと思いますが、良いですか?」
ここは昼下がりの広場のオープンカフェ、
町長さん達はトマトジュースを、
私は普通の水を頂きつつ、話を始めるのだった
「あのー、その前に・・・町長さんは太陽とか大丈夫なんですか?」
はい、ここは昼下がりのオープンカフェ、さらに言うと今日は快晴
私の記憶によればラルヴァは太陽の下では
色々な判定にマイナス補正がつくくらいには体調を崩すはず
・・・だと言うのに、二人はテーブルに刺さったパラソルの陰に居るとはいえ
顔色一つ変えずに、ニコニコと笑顔のままなのだ
「んー、確かに太陽は得意ではないのですが、これくらいなら大丈夫ですね」
「あ、そうなんですね・・・」
黒エリスさんがそう答えるんだけど、
これくらいでも大丈夫なら逆になんならダメなのか気になるが。
「さて、ユイさんはこの町についてどれくらい伺っていますか?」
白エリスさんが質問をする、それに対し、私は自分の知ってる限りを話す
このリバーウッドは、川と森に恵まれた立地にあり
森から採れる材木は皿やスプーンから建材まで幅広く使える良質の木材、
それを川から引いた水による水力で加工し、
ここから最も近い『キングスフォール』という国に輸出している。
それがほぼ唯一と言っていいほどの財源であり、
町長はそれ以外の商業や住人から税は『任意』で『貰い』、この町を存続させている
それゆえに、この町には商人が多く訪れる。
かかる税は任意、ではあるけど、多くの商人が自ら進んで税を納めている
・・・と、最近仲良くなった商人さんが言っていた。
「はい、この町のお金事情に関してはユイさんの仰る通りですね」
「では、ユイさんはこの町のもう一つの名前をご存じでしょうか」
もう一つの名前、と聞いて私は少し前に冒険者の人から聞いた話を思い出す
「・・・『魔剣使いの町』、ですか?」
今から1年前という割と最近の話
町を、国を、このアルフレイム大陸さえを脅かす、とある『魔神』が生まれた
名を『魔神モロク』と言う
魔神モロクは大陸中に自分の分身を生み出し、人々を恐怖で支配しようとした
そこに現れたのが、このリバーウッドの伝説となった『5人の魔剣使い』である
『イスラ』『リチェ』『モンタナ』『ベルルム』『エイシン』
5人の冒険者が、それぞれ強力な魔剣を用いて魔神モロクを討伐し、
モロクと、その分身がこれ以上大陸に現れないようにと
5人の魔剣を楔とし、異次元の狭間に封印した、という話だ
「わぁ、すごいですね!正しくその通りです!」
白エリスさんが嬉しそうにそう言う
黒エリスさんもまた、嬉しそうに小さく拍手してくれている。
なんで嬉しそうなのかはよく分からないけど、私もちょっと嬉しくなった
「ええっと、それで5人の魔剣使いはその容姿は極秘とされて居ながらも、
町の端に彼らの特徴を捉えた絵が彫られた石碑がある・・・んですよね」
「そうです、それもまた後で見に行きましょうか」
「それで、えー、ここから本題なのですが・・・」
白エリスさんが言い淀む、黒エリスさんも少し困った顔で微笑んでいる
「本題、ですか?え、今の話と私に何か・・・?」
「そう、ですね・・・えー、分かりました。明るい感じと真剣な感じ、
ぶっちゃけられたいならどっちがいいですか?」
人生で一度だってそんな提案されたことないわ。
っていうかもうそれ『結構暗い話だけど』って言ってるようなもんじゃん。
え、意外とこの町長さん話の仕方が下手なタイプなん?
「・・・あ、明るい感じで・・・」
どっちの選択肢で結果が変わらないならと
なるべくダメージがなさそうな方を選ばせてもらった
「「では、明るく発表させてもらいますねー」」
二人とも、なるべく明るい感じを作ってる感丸出ししているのが分かる
え、なんなんこの二人、なんか色々不器用過ぎでは・・・
「ユイさんの中にモロクと5本の魔剣が存在しています」
いやそりゃ明るい感じ出しづらいよねって話よね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます