第11話 食品売り場にはゾンビが沢山

 ……うん。

 ウジャウジャいるな。

 とりあえず1階の食品売り場に来てみたのはいいけど、まさかここまで居るとは。

 お菓子、魚介、肉、野菜、調味料、その他。

 どこのコーナーを見てもゾンビだらけ。


 ん?

 今日って食材の特売日?

 図ったようにおばちゃんゾンビが多くない?

 僕達食事必要無いよね?

 わざわざここに集まる必要無いよね?

 でもそれならなんでそんな争ってるの?

 かなり修羅場じゃない?



『アゥゥゥ! (それは私の肉よ!返しなさい!)』


『ガァ! (知らないわそんなの!取ったもの勝ちよ!)』


『アーガーウー! (野菜野菜野菜野菜!それ、よこせ!)』


『アウガ (はいよ。好きなだけ持ってけ)』



 えーちょっと待って何これ。

 なんか僕がまだ知らないゾンビの特徴を垣間見た気がする。

 なんでこんな食材を求めてるの?


 てっきり僕、ここにはちらほらと僕達(ゾンビ)が居るぐらいでわりと探しやすいかなって思ってたのに。

 いや、まさか人肉が大好きなゾンビが普通の食材に対してこんなに躍起になってるとは思わないじゃん。

 ちょっと聞いてみようかな?



「ガー? (すいませーん。聞きたいことがあるんですけどいいですかー?)」


「ゴガ? (ん?どうした兄ちゃん?)」


「アウー? (なんでここのゾンビって、こんなに普通の食材を求めてるんですか?僕達って食事必要無いですよね?」


「アァーウ (あぁそうだな。ここに集まってるのは多分生前の食への執着が強かった連中だ。だから生前の真似事をしようと必死になってるんじゃないか?完全に無駄な行為だけどな)」



 なるほど。

 そういうこともあるのか。

 生前の行いがゾンビになってから強く反映される。


 まぁ、僕は別に研究者でもなんでも無いから正直どーでもいいんだけど。

 謎が晴れてスッキリ。



「アガー (分かりました。ありがとうございます。それでついでにもう1つ聞きたいんですけど、最近ここら辺に若い人間の集団が来ませんでした?)」


「ガーガー? (そんなのいくらでも居るぞ?あーでも確か今日の朝ぐらいに人間がここに入ったってのは聞いたな。でもどこかは分からん。悪いな)」


「ゴーア (いえ。それだけでも充分です。ありがとうございました)」



 やっぱり来たことには来たみたいだな。

 それじゃ次はどこに来たのかを探そうか。

 流石にこの中から一人を探すのは面倒だし。

 一応外見年齢的には二十歳越えてるか越えてないかぐらいだから見た目で絞ることは出来るけど、それでも闇雲に探すよりは場所を特定してからの方が効率はいいだろうし。


 よし。

 次は2階に行くぞー

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