隠れてしまった僕

綿麻きぬ

君は太陽じゃない

 君は僕を隠してしまった。


 昔、僕はキラキラしていた。君が現れるまでは。現れてからはどうだろうか。


 君なしではキラキラ出来ない。


 君はキラキラしていた。僕以上にキラキラしていた。見る人全てを魅了して輝いていた。


 それに僕は負けたのだ。光が当たって輝く僕と違って、君は君自身が輝いていた。


 僕の輝きを奪っていった君を僕は憎むよ。僕の輝きはどこに行った?


 僕の輝きは君のおこぼれになってしまった。


 君は僕のことを素敵だと言う。でも、僕はそうだとは思わない。勝者の憐れみだ。


 君は僕の全てを奪って楽しいかい? その表情を見れば答えは出ている。


 君は太陽なんかじゃない。ただの闇だ。


 僕に返してよ、全てを。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

隠れてしまった僕 綿麻きぬ @wataasa_kinu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ