永生一愛というVtuber
「…え?」
なんなんだこれ…?
この人…え?
さっきまでからでは考えられないほどずらずらと喋ったことに、俺は驚愕していた。
「っていうか…」
ゆ、優那ちゃんはこの空気をどうするんだ…?
あんな意味のわからないことを言われて…
俺が不安に思っていると、優那ちゃんはその天使の声を響かせた。
「とってもわかります!」
「…え?」
「そうですよね!やっぱり彼氏にするならそういう人がいいですよね!」
「え?え?」
何を言ってるんだ?優那ちゃん?
「わかるー?」
「わかります!」
…あぁ、そういうことか。
初配信でいきなり否定から入るのは配信の空気も悪くなってしまう、だから優那ちゃんは本当はそんなことを思ってないけどあえて共感しているのか。
…天使がすぎる!
「天城ちゃんはどんな感じの彼氏が欲しいのー?」
「あー、私良く配信では言ってるんですけど、もう彼氏いるんですよー」
「そうなんだー、その彼氏はどんな人ー?」
「優しくてかっこよくて一番で幸せで感謝で尊くてキラキラで惹きつけて凛々しくて豊富で心が広くて助かって最高の彼氏です」
「へー、いいねー」
これは流石…なのか。
自分があれだけすごいことを言っただけに優那ちゃんの惚気話にも一切動じていない。
「一愛さんは今気になってる人とかいないんですか〜?」
俺はコメント欄を併用しながら配信を見る。
「俺かな」
「俺だぞ」
「私かな?」
私かなは明らかにおかしいだろ…!
「んー、いるー、オンラインゲームでだけどー」
オンラインゲームでなのか。
「いいですねー!今の時代そういう多様性があっても全然いいと思います!」
「ありがとー」
「なんて名前のゲームなんですか?」
「んー、えー、あー、その人とやるためだけに今そのゲームやってるからゲーム名忘れちゃったー」
そんなことあるか!?
それはもう気になるとかじゃなくて好きの域だろ!
「あー!わかります!」
優那ちゃん…嘘にしてもそこは共感しなくていいところだ。
「じゃあどんなゲームなんですかー?」
「んー?別に普通だよー、普通にモンスター倒したりして、服着たりしてをできる協力型のオンラインゲームー」
あぁ、確かに聞いてる感じ普通な感じだな。
かく言う俺も優那ちゃんの配信がなかった休日とかはそう言う協力型オンラインゲームでフレンドさんとかとゲームをしていたりすることはある。
こんなこと露那と付き合ってた時なら許されなかっただろうが、露那と別れてからはこんなこともできるのだ。
「面白そうですね!いつぐらいからやってるんですか?」
「私は結構前からやってて、その気になる人っていうのが二ヶ月前ぐらいに始めたらしくて、その人が始めたぐらいから私と一緒にずっとやってるのー、最近ちょっと頻度落ちちゃって悲しー」
二ヶ月…俺も確か始めたのは二ヶ月前だったな、奇妙な偶然もあるものだ。
「それは悲しい…!」
「うんー、そのこと思い出したら泣けてきたから次の質問いくねー」
「あ、はい…!」
声だけを聞いてる感じだと全然泣きそうに聞こえない。
「実際お二人は何歳なんですかー、だってー」
「私十六です!」
「そうなんだー、私十七〜、近いね〜」
十七…姉さんと同じ年齢か。
まぁ姉さんとは声も喋り方も、そもそも姉さんはゲームなんて絶対にしない…本当に同年齢でもここまで違うんだな。
「あ!そうなんですか!確かに近いですね…!」
と言った感じでその後も雑談配信は続いて行った。
…優那ちゃんが他の誰かと話しているところを見たことがなかったため結構新鮮な時間だったが、流石優那ちゃん、コミュニケーション能力が高い。
「…それにしても」
関連動画にあるヤンデレVtuberっていうのはなんなんだ…?
ヤンデレって確かツンデレとかデレデレ見たいなやつの一種だったよな…確か好きな人に対する愛情表現が歪んでしまったみたいな。
「…ん?」
何か身近ですごく思い出しそうなことがある…
いや、思い出さないようにしよう、それが良い。
その後は好きな食べ物はとか、どんなゲームが好きかとか、たわいもない話だった。
そして…
「と言うことで!ちょうど1時間くらい経ったので!今日はこのくらいで終わろうかなと思います!一愛さん、今日どうでしたかぁ?」
優那ちゃんは流石のコミュニケーション能力だった。
もちろん素晴らしいの一言だろう。
「んー、楽しかったよー、優那ちゃんずっと元気だったし〜」
「ありがとうございます〜」
「……」
まぁ…うん。
一応楽しいとは言ってくれてるし優那ちゃんも喜んでるみたいだし、別に良いか…なんだか釈然としないが。
「では〜!今日はこのくらいで終わりたいと思います〜!お疲れ様でした〜」
「お疲れー」
その一言で配信は終了した。
…結局よくわからない人だったな、でもヤンデレVtuberとして人気なのはコメント欄とかの反応からしても間違いないらしい。
「……」
俺は一旦永生一愛について考えるのをやめ、時々しているオンラインゲームをいつものフレンドさんがオンラインになっていたためお風呂に入るまでゲームをしていることにした。
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