第25話
俺達はテーレのある島へと戻り、草原を歩き続け、目的地の船着き場へと向かって歩いていた──別に人間の言葉が喋れなくても、厄介な魔物は存在する。俺達はそんな魔物に出くわしてしまう。
「ち……囲まれたか」
ガイさんは両手で剣を握りながら、辺りを見渡す。周りにはメカウルフと言われている所々、鉄を埋め込まれたウルフ系の魔物が数え切れない程いて、正面には人一人を一気に飲み込めそうなぐらい大きなウルフ系の魔物がいる。きっとこの群れのボスだ。
「俺の真後ろはフィアーナ。ガイは右、アルウィン君は左を任せる。俺は正面のやつに集中する!」
「了解!」
こいつ等に魔法はないけど、素早い動きで言葉もないから、何処から襲ってくるのか読みにくい。上手く連携しないと、あっという間に崩されて全滅してしまう!
「ガイ、お願い!」
「おぅ、任せろ!」
フィアーナさんが魔法の詠唱を始める。ガイさんはフィアーナさんとルーカスさんの守りに入った。俺もフォローしなくちゃ。
俺は仲間を気にしつつ、目の前の敵をフレイムで威嚇して、遠ざけていく──すると、フィアーナさんの詠唱が終わった。
「シューティング・アロー!!」
無数の光の矢がメカウルフに降り注ぐ──攻撃をくらい倒れる奴もいるが……かわしたやつも何匹かいる。なるほど……さすが改造されているだけあって、鉄の部分のお蔭で致命傷を避けている奴もいた。
コロコロと変わる状況を見つつ戦っていると、一匹のメカウルフがルーカスさんに向かって駆けているのが目に入る。
「させるかよ! アイシクル!!」
俺はアイシクルの魔法を放ち、阻止しようとしたが、別のメカウルフが立ちはだかる。一匹、仕留められたのは良いが、ルーカスさんに向かっている奴はまだ動いている。
「ちッ……」
言葉が無くても視線や声で上手く連携を取りやがって! 俺はクイックの魔法を自分に掛けて、自ら動く──。
「ファイアーボール!」
俺はファイアボールをメカウルフの前に投げつけ、足止めしてから一気に近づく──メカウルフは俺に邪魔をされて腹が立った様で、飛び掛かってくる。
「マジック・シールド!」
俺はマジック・シールドを目の前に張り、メカウルフの噛みつき攻撃を防ぐ──メカウルフはマジック・シールドに当たり倒れこんだ。一気に決めてやる! と、俺がマジック・シールドを解除し、魔法を繰り出そうとした瞬間──。
「アルウィン! 後ろだッ!!」
ガイさんの声が聞こえ、後ろを振り向いた──が、遅かった。俺は別のメカウルフに体当たりをされ、姿勢を崩して転んでしまう。
早く起きなければと、体を起こそうとしたけど、メカウルフが飛び乗ってきて、俺の肩を噛みつく──肩だけではない。他のメカウルフも集まってきている様で、足や腕までも激痛が走る。俺は思わず「うあぁぁぁあぁ……!!!!」と、悲鳴を上げた。
「アルウィン君ッ!!」
ルーカスさんの叫び声が聞こえてくるけど……俺はどうすることも出来ないまま意識が薄れていった。
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