第4話 扉の向こう
扉が開いた瞬間に、テニスラケットを振りかぶるドラゴン。
「え!?なに!?やめてよ!」
ドラゴンがテニスラケットを振り下ろすよりも早く、ドラゴンの顔が歪む。
バチン!!!
何が起きたかわからず、放心するドラゴン。
「何すんのよ!そんなにあたしとのデートが嫌なの!?だったら、言葉でいいなさいよ!最低!」
頬を殴られ、その場に立ち尽くす。
「な、なにもの、、」
「まだ言う?!本当になんなの!昨日のメールといい、そんなにあたしが嫌い?」
涙目になりながらも、泣いている素振りを見せたくなさそうな女性。
なぜだ!?なぜ泣くのだ?俺が殴られたのに。
「す、すまん。俺が悪かった。のか?」
なぜだ!?なぜ俺が謝る!わからん!…だが。
「わからないんだ。何が起きたのか、そして今、俺はどこの誰なのか。」
「は?なにそれ?暴力の次は、記憶喪失?ごまかしたいんなら、もう少しマシなこと言いなよ!」
「本当なんだ。俺は、ドラゴンであってこんなか細い腕ではなかった。俺は、自分ほどの大きな剣を持った闘いの化身だったのだ!」
グー。グルルー。
ドラゴンのお腹の音のようだ。
「ぷ!何?ドラゴンだから、唸り声あげてるの?嘘ばっかりついてるけど、お腹は正直なのね。何か食べた?」
少し呆れた表情を浮かべているが、殺気立っていた彼女が柔らかい笑顔に変わり笑っている。
「俺は肉が食いたいんだ。だが、見つけることができない。正直、どれが食い物かわからないのだ。」
「はぁ?また?もぉ、わかった。なんか作ってくれってことね。あんたの方が料理は上手なのに。」
そのまま部屋に入って来る彼女。
戸惑うドラゴン。
「ちょ、ちょっと待て!中にに入るのか?」
「?なんで?あたりまえでしょ?お腹すいてるのでしょ?それとも、何も作らなくていい?」
足を止め、首を傾げて見つめる。
グゥーーーグルグルグルゥー。
再度ドラゴンの腹の虫が鳴く。
「ドラゴンさんは、相当お腹が減っているようですが?どうしましょうね?」
「わかった。頼もう。背に腹はかえられぬ。」
扉の前から身を引き、彼女を招き入れる。
「なんか、今日は一々引っかかる言い方するね。こう言う時は、「お願いします。」って言うんだよ。」
靴を脱ぎながら、彼女か呟く。
ガチャン。そのままドラゴンの部屋の扉が閉まり、二人で部屋の中に入っていった。
極悪非道の剣士の転生先が保育士の為 @caka415
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