第28話 無敵のシールド
『名状しがたい』注意報――この話は冒頭から文体がけばけばしく、改行が極端に少ない。
登場人物
―ウォーロード/ヌレットナール・ニーグ…PGGのゴースト・ガード、単独行動の青年。
―切断された部位群の基幹、フレースヴェルグ…未知の邪神から切り離され機能が狂った群れの統括器官、本来『ファンシー』なはずの外見表示に異常が生じた四足歩行の怪物。
計測不能:不明な領域
破壊すべき怪物が要塞化した事でまた苦境に立たされたウォーロードであった。敵はシールドの向こう側から安全に攻撃しながら、回避不能のその場を埋め尽くすような致死攻撃の完成を待てばよい。腐れ果てた呪いの
それの厄介さについて考え、どうすべきか方針を固めようとした。邪悪が固形化して歩いているかのようなその怪物のシールドに、何かしらの抜け穴を使って直接攻撃できないか? 彼は戦闘機動を続けて激しい攻防に身を置きながら、アーマーに内蔵されたコンピューターに質問を投げ掛けていた。
『敵の異常な冷気による遠距離攻撃を、こちらに着弾した瞬間に何かしらの手段でその破壊効果を相手側に送り返す事でシールドにダメージを与える、あるいは貫通したり無視したりする事は可能か?』
『不可能。シールドに阻まれる』
『敵の表皮を異常に伸ばす打撃は、つまり円柱シールドの中にいてもそれを貫通して攻撃して来ているのか? つまり円柱シールドの効果は、その外側にはみ出た箇所には作用しないのか?』
『否定、見掛け状はシールドを貫通しているように見えても、その箇所もまたシールドに防護されている』
『では、敵の表皮による打撃はつまり敵の肉体を直接伸ばして、それで対象を直接殴るのであるから、触れ合っている瞬間は殴る側と殴られる側が接触していて、そこに接続があるわけであるから、それを利用して敵に干渉できないか?』
『否定、そして不可能。シールドに阻まれる』
その後も幾つかの条件で確認したがやはり無理そうであった。ウォーロードは科学者としての自認故に、どこか敗北感を味わいつつも現実を受け入れた。敵の攻撃が完成しないように阻止するしかない。
ランダム性を入れて急激なブースト機動で左右に移動して表皮の連打を回避しつつ、像のエリア内に入って来ようと殺到する雑魚の群れを攻撃した。凄まじい弾幕を張って敵の群れを薙ぎ払い、先程まで動いていたものが転がるのを踏み越えて、まだ無事なものが押し寄せていた。爆発する弾頭やレーザー兵器、超高温のプラズマによる例の反応とそれによる同士討ちを狙ったりして、とにかく撃ち続けた。イーサーの刃で接近して来た一部を指し貫いて、重イオン砲でその後ろの一部を吹き飛ばしたが、その次が来ていた。常に最低でも四〇以上の雑魚がいて、放置するとすぐにそれ以上に増えた。
焦燥はそれ程ではないと思っていたが、それでもあの、彼の人生を一変させた事件以降、彼の首から下を動けなくさせている呪いの刻印が刻まれた顎部分が、名状しがたい感覚によって疼いているような気がしてならなかった。常にそうだが、冷静さを保たねばならなかった。そして、冷静さを保つという事のために他が疎かになってもいけなかった。優れた戦士としての心構えが必要であると知っていたし、それが今試されているのだ。焦りを原動力に置き換えるのも悪くない。そうだ、ここで敗北すれば自らの悲惨な死のみならず、将来的な犠牲者の発生もあり得るという事だ。
ここで全てを終わらせろ。
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