第27話 邪神像
『名状しがたい』注意報――この話は冒頭から文体がけばけばしく、改行が極端に少ない。
登場人物
―ウォーロード/ヌレットナール・ニーグ…PGGのゴースト・ガード、単独行動の青年。
―切断された部位群の基幹、フレースヴェルグ…未知の邪神から切り離され機能が狂った群れの統括器官、本来『ファンシー』なはずの外見表示に異常が生じた四足歩行の怪物。
計測不能:不明な領域
敵は短距離を空間転移して移動し、その移動先で急激に要塞化を図った。円柱状のシールドがあの狂った幹の周囲を被い、しかもその上でその内側から一方的に攻撃できるらしかった。気色の悪いその幹はその場所に根付く事で、移動できなくなる代わりに攻撃と防御を高め、絶えずエネルギーを供給し、まさに要塞であると言えた。そのように分析しながらヌレットナールは尋常ならざる悪意の具現とその下位器官どもに対応する事を迫られた――遂に雑魚が到着。敵はあくまで強固であり、粘り強く、そう簡単に勝利できるとも思えなかった。死力を尽くして
全く未知のシールドが展開されており、それがウォーロードのあらゆる攻撃を阻んでいた。ディスラプター兵器も、またそれ以外も到達する直前でシールドにぶつかって掻き消され、シールド残量が猛攻で一切減っていない事がHUDに表示されていた。敵の円柱状のシールドがハイライト表示され、それは上部で蓋をされた何かしらの容器のようでもあった。内側にいるのがかような怪物でなければ興味深い研究対象であったかも知れないが、しかし設計上の原子配列と実際に表示される情報がずれているせいで悍しい姿に変貌している怪物が中身であるため、恐らくほとんどの学徒が一瞬でその興味を喪失し、残りの人生を震えて過ごす事になると思われた。化け物としか言いようがない不気味なこの生物はしかし、その厭わしさと比例するぐらいには強力で、更には腐り果てた同類の群れを再び召喚し始めているのだ。
しかもそれと同時に敵は離れた位置に何かしらの物体を構築し始めた。ウォーロードはその未完成の輪郭を見ただけで激しい動悸に襲われ、制御を誤って見えない壁に激突した。殺到する敵の攻撃を回避しつつ、一体何をしようとしているのかをスキャンしたが、しかしもう一度見た時も想像を絶するような不快感に襲われた。理解を拒むような域に達した、見渡す限りのこの宇宙、及び森羅万象への著しい冒瀆であり、許されざる毀損であり、あってはならない邪悪そのものであった。ウォーロードは極力それを見ない事で対処したが、しかしアーマーの機能ですら精神的な悪影響を完全には遮断できなかったという事実に驚愕していた。存在するだけで忌むべき悪影響を広げる、グロテスク極まる何かを模した、エネルギーで構成された像らしかった。しかしちらりと見てその嫌悪感に耐えつつ熟考すると、やはり正常な表示ができていない事に気が付いた。何かしらの単一の群体である実体から切り離された一部であり、異常な見え方をしているそのような狂った巨獣が何かしらの像を構築しようとしているのであれば、当然ながらその構築物とて狂ったものに見えるのが道理であるように思われた。
ウォーロードはその吐き気を催す輪郭が恐らくは、眼前の怪物の総体と愚劣な友好関係にある何かしらの悍しい実体を模したものではないかと考えつつも、その実害についても考察した。スキャン結果によればこの像が完成すれば、それによってこの封鎖された地の内側では、これら狂った怪物ども以外は理不尽にも全てが死に絶えるらしく、残酷な話であるが防ぐ手段は構築を妨害する以外に無かった。幸い妨害を続ければあの腐れ果てた幹である巨獣に過負荷が掛かり、深刻なダメージを負うらしかった。
しかし妨害するためにはあの見ただけでも凄まじく気分を害するエネルギーの像の一定範囲内に留まり、それによって構築を停止させ続ける必要がある。しかも敵は言うまでもないがシールドの内側から猛攻撃を仕掛けて来るし、雑魚の群れも殺到して来る。厄介な話だが、雑魚が像に到達すると像の完成速度がその分早くなってしまうらしかった。恐らくそれらの個々を像の完成作業に従事させるのであろう。忌々しい調査結果だと呪うように思案しつつ、それはそれとして戦わなければならない事をウォーロードは受け入れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます