第4話 女騎士の弟ショタ(シスコン)を下ネタちょい混ぜにからかいたい
ある日のこと、少し伸びた午前の職務を終えて遅い昼餉を取ろうと騎士団本部へ戻ると、珍しいお客にあなたは気付きます。
まばたき一つほど早く向こうもこちらに気付いていたようですが、さっ、とイヤそうにそっぽを向いてしまいました。
広いエントランスの中で見るとその姿は特に小さな。小さな――――同年代の子と比べてさえも小さな少年でした。
膝上丈のパンツから伸びる細い足は真っ白にまぶしく、しゃれっ気なのか少し伸び気味の金糸のような髪、碧色の瞳……どうにも、見覚えがありました。
端正だけれど不機嫌そうな顔にさえ、ご機嫌斜めなときの“彼女”の面影があります。
“なんだ、こんな所でどうした? 迷子か”
「誰が迷子ですか。僕はただ、こちらの書庫から借りた本を返しに……」
“なんだ、ちんちんに毛も生えてないのにエッチな本か? 俺にも読ませろ”
「違います戦記です! 真面目な本ですよ!」
“真面目な女が出てくる本なのか? なかなかやるな、お前”
「いいかげんにしてください! 何なんですか、あなたは!」
“ははっ……それはともかく、後ろを見るといいぞ”
「は? ……え、あ、姉上!? い、いつから!?」
打てば響いて返ってくる、その様子はあなたにだけ見せる子どもらしい一面です。
子ども離れした賢さから将来を大いに
そう――――いつの間にか真後ろにいた、大好きな姉にさえ気付けないほど。
「来ていたのか、ルイ。……ところで何を話していたんだ、二人とも」
「い、いえ、別にっ……あの、姉上、ええと……」
慌てふためく男の子、フラン=ノエルの実弟ルイの姿に微笑ましいものを感じながら、あなたはその頭をポンポンと叩いてからすれ違っていきます。
またも子ども扱いされたルイが羞恥に顔を赤らめ――――これもまた余談ですが、そのすぐ赤くなる顔も、彼女にとても似ていました。
“俺は団長に午前中の報告に行く。せっかくだ、姉弟ふたり、水入らずで昼飯でも行くといい”
そう言うと、何かを言おうとしたルイもぽかんと口を開けて、言うはずだった言葉はどこかへ消えていきました。
「ふむ。……そうだな。ではお言葉に甘えようか。どうした、ルイ? 空腹ではなかったかな」
「あ、いやっ……! わ、分かりました姉上、行きましょう! それではけ、
気の利いた去り際の言葉もひねり出せない少年のたどたどしさにまたも微笑ましくなりつつ、あなたはそこを去ります。
一度だけ振り返って見てみると、仲睦まじそうに言葉を交わす、そっくりの金髪と白い肌の二人はとても絵になりました。
そういえば、自分も昼はまだだったな――――と思い出せたのは、数歩してから腹の虫がさびしそうに鳴いてからの、ことでした。
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