第11話 困惑

 「ここはどこなんですか?」


 答えが返ってくるとは思ってはいない。だがどうだろう、今なら答えてくれるんじゃないかとふとそう感じた。


「ここか?」

「そうだな、ここはマーチャントギルドの総本部。」

「と言っても君にはわからないだろうが、まあ会議が終わればすぐにここから出られるから心配する必要はない。」


 「ギルフォーーード!」

 先程まで壁でしかなかった場所から突如若い女性の声が木霊してきた。

 声のする方を凝視していると、壁の中から身の丈2メートルはある女性戦士が現れた。

 鍛え抜かれた肢体と大きな胸に自然と目がいってしまう。

 左大腿部の内側には魔法陣のような紋様が刻まれている。

 そしてその女性戦士は僕目掛けて拳大の麻袋を放り投げた。

 僕は慌てて手元でファンブルしながら両手の掌に収めた。

 麻袋の口を結んでいた紐は金糸でできているようで中身も見た目以上に重みがあった。


 「新入りだな!」

 「それは祝儀だ。快く受けとれ。」

 僕の返事を待たず、着席した。

 

 「それはそうと、ギルフォード。」

 「親父がとうとうくたばったんだってな!」


 「相変わらず、だな。」

 「ペースが乱れるじゃないか。」

 

 「コ、コホン。」

 なんだかのけ者みたいな雰囲気を感じたため、軽く咳払いをして場面展開を試みた。


 「あぁ、悪い悪い。」

 「実はな」



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る