第4話 登校
この時期はもう、学校に行かなくてもいいんだけど、赤本を携えてついつい登校してしまう。
大学に進学してから、親元を離れて暮らし今後の方針についてゆっくり考えてみるのもいいかもしれないと考え直していた。
「現役で受かるなら何処でもいいかな。」
カモフラージュ的に公の肩書きっていうのも必要かもしれないな…。
ブツブツ…。
「よっ!何一人でぶつくさ言っているんだ?」
「ヒャッ!」
その一瞬、独り言が漏れていたことに驚き、変なところから変な声が溢れてしまった。
…僕は、独り言が漏れてしまう癖があるみたいだな。気をつけないと。
「押忍、真斗(まさと)。…この戦争から抜け出せられるなら、もう何処のFラン大学でも構わないって思ってさ。」
「あぁ、今回の共通テスト、数学が壊滅的だったからな。その気持ちは痛いほどわかるよ。俺なんか志望校3ランク落としたからな。ま、お互いがんばろうや。」
なるほど。僕は理数が得意だったからさほど影響はなかったけど、みんなは違うんだな。
幼稚園から嫌々習い事させられていたけど、珠算と英会話だけは親に死ぬほど感謝だな。
真斗のどうでもいい世間話を軽く受け流して勉強を進める。
しかし、よく考えてみたら2月1日は大学入試の日だったな。
さっき真斗の話ではランクを下げて受験と言っていたから、僕もランクを落として受験しても何ら違和感はないんだろうな。
大体今時全寮制の大学なんて入ってしまったら、計画も何も全て御破算にしないといけない。
肩書き欲しさに受験勉強とは、僕も将来社畜候補だな。
いたずらとは知りつつもたまたま開いてしまったマーチャントギルドのメールに大分意識を持って行かれながら、机に向かった。
入試まで、あと4日。
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