第6話 そんなことより怠惰に過ごそう
「は、初めてですので、や、優しくして下さい!」
「え?」
俺が呆気に取られている間にも、ラナさんは服をばっさりと脱ぎ捨てる。
もともと奴隷用の簡素の服だったせいもあって、すぐに脱ぎ終わってしまった。
何しとるんじゃい! と、俺は心の中で突っ込みを入れつつも、初めて見る女の人の裸に見惚れていた。
うわー、肌とか真っ白だな~、とか、おっぱいおっきいな~とか思いつつ、それはもうじっくりと見つめる。
「ご主人様・・・あのどうかされたでしょうか。やはり私の様な貧相な者の体を見ても何もお感じになりませんか?」
そう顔を真っ赤にしながら、俺に問いかけてくる。
いやいや、ラナさんが貧相だったら他の人はどうなるんですか。
確かに病気だったころは顔も青白くて元気もなかったので貧相に見えたかもしれないが、今は血色も良くなり、肌にも張りが戻っている。
馬車にいた他の少女たちも可愛かったが、今のラナさんに比べたら全く見劣りがするくらいだ。
・・・と、まあ、いきなりの事だったので少し驚いたが、ちょっと落ち着いて来たぞ。なるほど、俺が紛らわしいことを言っちゃった訳か。
「ラナさん、寝たいっていうのはそっちの意味じゃなくて、本当に眠りましょう、って意味だよ。今日は色々あったから疲れただろう?」
俺がそう言うとラナさんは、えっ? と声を上げる。そして、先ほどよりも更に顔を朱に染めた。
「わ、わたしったら!!」
「あ、でもその恰好はいいかも。ほら、一緒に寝よう。抱き枕って奴ね」
「え、で、でもご主人様と一緒のベッドで眠らせていただくなんて、奴隷の私には・・・」
「いいから、いいから!」
俺はそう言うと、強引に寝室までラナさんを引っ張り込んで、ベッドに連れ込んだ。
うん、ラナさんの体は思った通り柔らかくて温かい。ただ、やっぱり異世界だけあって、お風呂には入らないのかな? その辺りどうにかならないかな? 俺も風呂だけは入りたいからなあ。
俺がそんなことを思った瞬間、脳内に例のアナウンスが流れた。
『生活魔法1”浄化”を発動しました。怠惰ポイントから0ポイントが差し引かれます。怠惰ポイントの充電は残り50ポイントです。怠惰ポイントの充電をしてください』
えっ!?
俺が驚いていると、ラナさんの肌から、確かにお風呂にはいった後のような石鹸とシャンプーの匂いが漂ってきた。なんか俺の口の中も歯磨きした後みたいにさっぱりした感じがするぞ?
すごい、風呂いらずか! 風呂入るの面倒なんだよなあ。いちおう毎日入るようにしてたけど、ショートカット出来るなら凄く有難い。しかも消費ポイント0とか分かってんなあ!
「何だか水浴びをしたときみたいに体がさっぱりした気がします。あ、それに御主人様の体からなんだか良い匂いがしますよ? とっても良い匂いです」
そう言って俺の首筋に顔を埋めてくる。
う、何だか恥ずかしいな。
「どうされましたか?」
そういってラナさんが固まる俺から顔を離して覗き込んで来る。
その時、俺は再度驚くことになった。
なぜなら、先ほどまでくすんでいたラナさんの金髪が、艶々とした美しい輝きを放っていたからだ。恐らく生活魔法の効果なのだろう。
俺はこの時、この人が相当な美人であることに初めて気が付いたのだった。
馬車の子たちが見劣りするくらい、とか思ってたけど、こりゃそれどころじゃないぞ?
綺麗なストレートの金髪におっとりとした感じながら整った目鼻立ちをしていて、すらっと背が高くて足が長い。そして肌が真っ白でシミ一つなく、何よりもおっぱいが大きい。しかもちょい年上と来ている。
これは凄い。俺なんかが抱き枕にして良いレベルの美人じゃないな!
そんな風によく分からない感想を浮かべていると、突然ラナさんが俺の体をギュッと抱きしめて来た。
「わっ、い、いきなりどうしたんだ?」
「あ、あの、お願いですから捨てない下さい! 何でもしますから!!」
えっ、いきなりどうしたんだ? ラナさんみたいな美人を捨てる訳ないんだが・・・。
「私は奴隷商館でも厄介者だったんです。病気でしたし容姿が優れていた訳でもありませんでしたから。何もできない自分が嫌で、雑用などして周りの方のお役に立とうとしてきましたが、やはり中途半端で・・・。買い手もつかない金食い虫でしたから、そろそろ捨てられる所だったのです。それをご主人様に救って頂いたのです。御主人様以外に私の居場所はないんです。だからお願いです。捨てないでください!」
なるほど、ラナさんなりに悩んでいたという訳か。俺が何も言わないから不安になっちゃったんだな。
「捨てるわけないだろう? ラナさんは奴隷として、俺がダラダラ過ごすために役に立ってもらわないといけないんだから」
出来るだけストレートに思いを伝えてみる。うーん、ダラダラとか締まらない感じではあるが。
しかし、それでも俺の捨てないという言葉にやや安心してくれたらしく、ホッとした表情を見せてくれる。
だが、まだ少し不安そうだな。
「えっと、まだ不安かな?」
「いえ・・・、そんなことは無いのですが、何か証(あかし)が欲しくて」
証(あかし)?
俺が頭の上にハテナマークを浮かべていると、ラナさんが一大決心をしたように口を開いた。
「あ、あの、私の忠誠の証、受け取ってくれますか?」
「え? ああ、まあくれるっていうんなら、貰っておくけど・・・」
一体何をくれるつもりなんだ?
そう問いかけようとした俺の口を塞ぐように、ラナさんの唇が重ねられていた。
ちょっ!?
忠誠の証ってコレかよ。いや、嬉しいけどね。こんな美人にチューされるとか夢みたいだけどね!
あー、それにしても女の人の唇ってこんなに柔らかいのか。何か甘酸っぱいような味もするし、マシュマロみたいにプニプニしてるし。抱き付いて来るラナさんの体も気持ちがいいし、押し付けられてつぶれているオッパイもふわふわとしていてヤバい。
うぐ、理性飛びそう・・・。いや、別に飛んでもいいのかもしれないけど。
と、俺が悶々とし始めていると、ラナさんがやっと唇を離した。
ちょっと荒い息を吐いてるのも可愛い。
ちょっと年上のお姉さんというのもすごく良い。
「ごめんなさい、はしたないことをしてしまって・・・。私なんかにキスされても嫌でしたよね?」
んなわけないだろ!
と言ってあげたいところなのだが、さっきから思っていたのだがラナさん自己評価が異常に低いんだよな。まあ、今までの境遇を考えたら当然なのだ。実はめっちゃ美人なんですよ、とか言っても信じなさそうである。
なので、ここは彼女に自信を付けさせるために、実際に態度で示してあげることにしよう。口で言っても信じなさそうだからな。
「嫌な訳ないだろ? そうだな、じゃあ、朝昼晩の3回、俺にキスすること。嫌がってないことの証明になるだろ?」
3回は多いかな? っていうか、ラナさんが逆に嫌がるかな?
言ってからそう思ったが、ラナさんはパッと笑顔になると、また俺にキスをしてきた。
「んー、ちゅっちゅっ。はい! 御主人様、朝昼晩の3回、ご奉仕させて頂きます。ちゅっ」
いや、ご奉仕じゃなくてチューで良いんだけどね。
まあいいか、とりあえず気持ちいいし。
俺とラナさんはこうして抱き合ってイチャつきながら、いつの間にか眠ってしまったのであった。
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