第16話

「ねえこれほんっとにわからねえ!!なんでお前らそんなにすらすら問題とけるわけ!?」


「それはお前が授業中寝てるからだよ。」


「ながいっち助けてー…」


「どこがわからないの?」


ほんとに伊織は…なんで転校生に教えてもらってんだ。


「おお!わかりやすい!ありがとうながいっちー!!」


「この範囲実は前の学校でやったんだよね、だからここは得意!」


「さっすがー、やっぱり病院でも勉強するの?」


何をこいつ当たり前のことを…


「んー、あんまりしないかも。体力使うし。」


「え、しないの?」


「うん、病院の先生からおすすめされてなくて。」


「あー、それはしょうがないね。」


たしかに勉強は体力がいるからな。そりゃあ病院では休むのが得策だろう。


「でもね、本当はもっとやりたいんだよね。」


叶音さんはそう言いだした。


「え、なんで?」


「私も前までは勉強きらいだったんだよ?でもがんになってからいろんなことが制限されたらさ、ああもっと勉強してたらよかったな。って思ってね。」


そうか、やっぱりやってなきゃ後悔するんだな。


「だからあともう少しでもみんなちゃんとやっといたほうがいいと私は思うなあ。」


自分のことで精いっぱいのはずなのに、すごいな。


「ねえつかれたーお菓子食べようぜー、頭が糖分を欲しているぅぅ…。」


「しょうがねえな伊織、叶音さんはどれたべる?」


とりあえず今は勉強に集中しよう。

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