第10話

みんなプリンとゼリーを食べ終わったあと、叶音さんが伊織にがんのことと自己紹介の来年のこの時期には死ぬことは本当ということを話した。


「昨日倒れちゃったし、もう郁里くん知ってるから伊織くんだけに言わないのもちょっとね。」


と思うところがあったらしい。


伊織は少しショックだったらしく、この話を聞いたら飲み物を買うからと病室を出た。


「やっぱりこの話重かったかな。郁里くんみたいな反応だと思ったんだけどなー。」


「いや、多分あいつの事だから話の重さよりもっと別のところで引っかかってるんじゃないかな。僕は分からないけど。」


「そっか。なら大丈夫かな?」


「うん、大丈夫だよ。伊織はそんなやつじゃないから。」


「郁里くんが言うなら信じる!」


と元気が出てきたようなところで叶音さんが


「ねえ、また重い話になっちゃうんだけどさ。」


と話を続けてきた。


「私が死んだらさ、おめでとうって言ってね。」


そう言われた時はさすがにびっくりした。


「いや、深い意味とかはあんまりなくて。でも私は自分で死ぬっていう選択をしたから悲しまれるよりそう言われた方が嬉しいじゃないけど、良いなと思って。」


これに関しては僕は何も言えなかった。そこから沈黙が続いていたが伊織が


「ねえこれみて!ガトーショコラ売ってたからついでに買ってきた!食べようぜ!」


と戻ってきてくれたおかげでまた会話ができるようにうになった。


ガトーショコラを食べながらゲームをする。

そしたら看護師さんが来て検査だからと僕達は帰ることになった。


「2人ともまた明日ね!明日は学校行くから!」


「おう!ながいっちまた明日な!」


「また明日。」



と挨拶をして病院を出た。


しばらくして伊織が


「お前らの秘密ってあれだったんだな。」


と聞いてきた。


「ああ。さすがにあれは僕からは言えないよ。」


「それは確かに。」


「でも話してもらえてよかったじゃん。伊織知りたがってたし、あれを話したってことは伊織も信頼できると思われたんじゃない?」


「まあな。」


と今日の帰り道は珍しくとても静かだった。


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