第11話

家に帰ってから風呂に入って家族とご飯を食べてる時


「あんた最近帰ってくるの遅いけど伊織くんとなにかしてるの?」


「あー、まあ。」


「へー、兄ちゃんもやっと青春らしいことしてんじゃん。」


「別になんでもいいじゃん。」


「あ、もしかして好きな子できた??」


「ち、違うから!」


「まあでもあんたが楽しそうで何よりだわ。表情が違うもん。高校始まってから。」


と言われドキッとしてしまった。でも実際高校3年生になってから楽しいことが多くなったのは確かだし、きっとそれは変わらないんだろうと思った。


部屋に戻ってしばらくゲームをしていたが飽きてきて何をしようかと考えていたらふと叶音さんのがんについてがよぎった。


今の時代は本当に便利でよかったと思う。自分の知りたいことがすぐに調べられるのは本当にありがたい。

調べたとはいえあまりにやりすぎてしまうと叶音さんも嫌だろうからこれからはさりげなくやっていこうと心に決めた。


次の日学校に行くと叶音さんはもう来ていた。


「あ、郁里くんおはよう!昨日でゲームのイベント最後だったけどどうだった?」


「おはよう。ある程度はやったけどなんかやる気でなくて途中でやめちゃった。」


「マジで?あー、でも今回参加してる人少なそうだし結構高めの順位なんじゃない?」


「どうだろう、今回結構サボっちゃったからなー。」


なんてゲームの話をしていたら陽キャの男子が


「ねえ叶音ちゃん、なんの話ししてるの?こいつと話してて楽しい?それより俺らと話しようよ。」


と言ってきた。別にこんなことは初めてではなかったし気にしてもないから可哀想な奴だなーと思っていたら


「ねえ郁里くん今日の放課後はどこ行く?」


なんと彼女はそいつをスルーして話を続けてきた。


「え、叶音さん話しかけられてるけど…」


「ちょ、叶音ちゃん…」


「何?私友達のことバカにするようなやつとは話したくないんだけど。よく相手のこと知らないでそうやって言えるよね精神年齢低いんじゃない?君今までそうやって人の事見下してきたでしょ。可哀想にね、注意してくれる人いなかったんだ。君みたいな人達より郁里くんと伊織くんと話してた方が楽しいから。そういうこと言うんだったらもう話しかけてこないでね。」


と陽キャを論破していた。言われた本人はぽかんとしたまま取り巻きに引きずられて言った。


「え、良いの?あんなこと言って。」


「いいのいいの、ああいうやつは本当はスルーするのがいいんだけどね、あんまりに腹立ったから言っちゃった!」


てへっと効果音がつくみたいにスッキリとした笑顔で言ってきた。


女の子って強いなと思いながら朝のHRを過ごした。


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