第9話

「とりあえず今は容態は安定してるから安心してね。叶音ちゃんのこと連れてきてくれてありがとね。」


病院についてすぐに近くにいた看護師さんに声をかけ叶音さんを引き渡ししばらく待っていた。

看護師さんがその場からいなくなったあと


「お前が言ってた秘密ってこのことなの?」


「…ごめん、僕からは言えない。それくらいの話だってことは言えるけど。」


「そっかー…わかった!じゃあこれは本人に聞くわ!」


「ごめん。」


さすがにこの話は言っていいものかどうなのかが正直わからなかった。だから本人に聞いて欲しかった。


次の日、叶音さんは学校を休んだ。無理もない。昨日の今日だし。


「なあ郁里。今日お見舞い行かね?ながいっちの。」


「ああ。僕も今日いこうと思ってた。」


「決まり。お土産何買ってく?無難にフルーツ?」


「うーん。3日間くらいしか一緒にいないけど多分普通のお菓子とかの方がいいのかな…。」


「あ、じゃあプリンとゼリーは?あれなら食べやすいんじゃね?」


「伊織、お前やるな。」


無事にお土産に持っていくものも決まって放課後になった。


「なあ郁里ー?」


「ん?」


「今日話してくれると思う?」


「どうだろうね、でもそろそろじゃない?」


不確定なことはあまり言えない。でも彼女は割り切っているところはあるように思えた。だから伊織に話してもらえるのは近いかもしれないと思った。


病院について叶音さんの病室を教えてもらう。


「あ、郁里くん!伊織くん待ってたよ!昨日は迷惑かけてごめんね、重たかったでしょ?看護師さんが教えてくれたんだ。」


案外元気そうではあったが無理してない訳でも無いだろう。


「ううん!全然だよ、体調は大丈夫?」


「うん、昨日よりは超いい!郁里くんもごめんね?」


「僕も大丈夫だよ。あ、これ、お土産。みんなで食べようと思って。コンビニのだけど…。」


「あ!プリンとゼリーだ!私どっちもめちゃくちゃ好きなの!これどっちも1つずつ?」


「うん。」


「2個も食べれるの?贅沢〜!!」


どちらも喜んでくれたみたいで良かった。とても幸せそうにプリンを頬張っているのを見ると本当に好きなんだなとわかる。


「2人とも食べよ?ほらほらー早くしないと私食べちゃうよ?」


そう言われたら食べるしかないだろうと3人で今日学校であったことなどを話しながらまた楽しい時間を過ごした。




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