第8話

3人でコーヒーショップに来たが僕も叶音さんも来たことがなくて注文する時に時間がかかってしまい、結局伊織におすすめを頼んでもらった。


「あ、これ美味しい!さっすが伊織くんこれまた頼も。」


「俺も久々に来たからちょっと手間取ったけどまさか2人があんなに時間かかるとはね…。」


「…仕方ないだろ初めてだったんだから。これうま。」


多分1人で来るとこはないだろうけどまた来る機会があったらこれ頼もう。


「ねね、ながいっちがここに来る前に住んでたところってどんなところだったの?」


頼んだドリンクを飲みながら帰り道で世間話をする。


「私昔ちょっと病気してて、お母さん達が空気が綺麗な田舎に引っ越してくれたの。何も無かったけどそれなりに綺麗なところじゃないかな。」


「へ〜、じゃあ今年の夏休みに行けたらいいな!この3人で!」


「え、それ僕も入ってるの?」


「あ、それいいかも!私案内するよ!」


夏休みに出かけるのか。

今まで夏休みにどこか遠くに行くのなんて小学生の頃家族と行ったっきりでしばらく行ってないな。なんなら長期休みは外にすら出ないし。


「な、郁里!いいだろ?久々に夏満喫しようぜ??」


「あー分かった分かった、考えとくよ。」


「やったー!楽しみにしとくね!」


なんか青春ってこんな感じなのかなと高校生ながら考えて歩いていくとやっぱり叶音さんの様子がおかしくなってした。


「叶音さん大丈夫?汗出てきてるけど…。」


「あー、まだ大丈夫だと思う。いやどうだろう。ちょっとしんどいかも。」


と言った瞬間に視界から叶音さんが消えた。

そのすぐ後にドサッと何かが落ちたような音がする。


「え、ながいっち!?大丈夫?」


その声で叶音さんが倒れたんだと頭が理解した。


「ながいっち?ながいっち!!郁里どうしよう!ながいっち目覚まさない!」


「伊織、落ち着いて!僕達まで慌てたらそれこそ叶音さんが危なくなるよ。とにかくあの丘の上の病院まで運ぼう。あそこに叶音さんの担当のお医者さんがいるはずだから。」


どうしようと慌てる伊織を落ち着かせながら叶音さんの帰り道の先にある病院まで運ぶことにした。

今考えたら救急車を呼べば良かったんだろうけど当時はそこまで頭が回らなかった。


「俺ながいっちのこと運ぶからお前は荷物よろしく!早く行くぞ!」


慌てていると思ったらすぐに落ち着きを取り戻した伊織がテキパキと動いてくれた。


なんだかんだ言って僕の友達は頼れるやつだと実感しながら急いで叶音さんを病院に運んだ。

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